ジミー・チェン
PEOPLEText: Satoru Tanno
今月のカバーグラフィックを制作してくれたのは、ロサンゼルス在住のウェブデザイナー、ジミー・チェン。彼が主宰するサイト「タイポグラフィック」同様に、建築的なレイヤー、シンプルなタイプフェイス、繊細なデザインに仕上げてくれた。
フラッシュやディレクターを操り、ウェブでエンターテイメントを提供していきたいというジミー。最近は、さらに活動の域を着実に拡げている。
はじめに、自己紹介をお願いします。
ジミー・チェン。タイポグラフィックを主宰してます。1996年にカリフォルニアのベニス・ビーチにある「eロジック」でクリエイティブ・ディレクターだったときに実験的に開始したのが、このサイトです。
テキストを重視して始めたのですが、その後タイポグラフィーの方向に進展していったものです。そのあとはサンフランシスコで仕事もしました。もともと建築志望でカリフォルニア州立大学に入学したのですが、グラフィック・デザイン専攻で卒業しました。
現在は主にウェブ・デザインをやっていて、実験性を拠りどころに様々なことをしています。
今までに数々のクライアントのサイトを制作されていますが、制作する時のポリシーはなんでしょうか?
まずクライアントの要望というものがあるわけですが、だからといってグラフィック的に面白いものを作れないのでは意味がありません。ですからクライアントとデザイナーの双方を満足させるようなものを作るということです。
今回SHIFTのカバーグラフィックを制作していただいたのですが、フラッシュを使ったカバーは SHIFTでは初めてで、ライポグラフィックのサイト同様、レイヤーの使い方、シンプルなタイプフェイスと、繊細なデザインなどとても気にいってます。制作について考えたことなどおしえてください。
自分の多くのデザインはまず、レイヤーの配置に重点を置き、2Dグラフィックの空間的要素を採り入れることを常に意識していて、このような要素を得るために、陰影、遠近感そしてレイヤーを使用するわけです。
SHIFTのカバーでは、あらゆる所に存在し、我々に多大な影響を与えている“スクリーン”というものを表現しようと試みました。スクリーンが送り出すエネルギー、たゆみなく情報と娯楽を吐き出すスクリーンといったものです。
テレビ、コンピューター、映画であろうと、刺激を与え、影響を及ぼし、なんでも映像化してしまうスクリーンです。そしてこのようなスクリーンをもって我々は自分自身を世界に対して示し、表現するのです。それはまるで、両面鏡のようなものです。メッセージはシンプル、映像は複雑ということです。
さらに、アニメーションによるグラフィックスとタイプフェイスで、そのスクリーンや日常的な活動や行動といったものを、境界のない流動的な広がりとして象徴させるのです。情報とアートというものが、静的なものではなくなるということです。
最近の活動について教えてください。
最近、レメディ・プロジェクト への作品を完成させました。これはジョシュ・ウルムの立案によるかなり実験的なウェブサイトです。
これは本当に楽しい仕事でした。いままで一番時間的に厳しい条件で製作したのですが、新しく斬新なものです。完成したものは12のディレクター・ムービーからなるものです。全く目的はなく、ただ単に自分ができることを実践したものです。始めての試みで、ファイルの数が膨大になりましたが、この時に自分がウェブやアニメで最終的に何をすべきかということを自覚したのです。
そしてこのプロジェクトを通して多くの素晴らしいデザイナーに出会え、情報や意見を交換できたことを嬉しく思っています。
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