WIG-01
PEOPLEText: Matt Owens
イギリスのシェフィールドを拠点にグラフィックデザインを中心に活動する「WIG-01」。グラフィックワークの他、ウエブでの作品発表も精力的に行い、またオリビエロ・トスカーニ監修のファブリカによるプロジェクト「プレイヤー」など様々なプロジェクトも行う彼ら。クリエイティブな作品を生み出す為の原動力は何なのか?いろいろとお話を伺った。
WIG-01を設立されたきっかけは何ですか?
WIG-01は、クリエイティブな共同体です。「安全にプレイ」できない作品作りを専門にしています。グラフィックデザイン作りに強い情熱を燃やしており、決まりきった平凡なデザインと、リスクを負うことについて自らを振り分けてくれるようなクライアントのみと仕事をしています。
2001年の11月にWIG-01のサイトが立ち上がるまでは、公式にはスタートしていなかったのですが、WIG-01自体は8月に設立され、サイトがWIG-01の誕生の証のようなものでした。二人で仕事を始めて5年が経ちます。お互いの事はよく理解しているつもりです。
イギリスのシェフィールドで仕事することについてどう思われますか? DEDアソシエイツやザ・デザイナーズ・リパブリックもシェフィールドがベースですよね。彼等とは知り合いですか?一緒に遊んだりするのでしょうか?シェフィールドには確固としたデザインシーンがあると思いますか?
シェフィールドは、他の都市とは何ら大きな違いはありませんが、見栄を張ったようなところが少ないところです。DEDアソシエイツからは、かつて、かなりのサポートをしてもらっていたことがあり、彼等の作品には敬意を持っています。デザイングループのいくつかは、成功する為に「本筋をゆるめる」ことを容易にやって、結果的に傲慢になりがちです。それに比べてDEDはしっかり地に足がついていて、素晴しい作品を作り出しています。ザ・デザイナーズ・リパブリックとは面識はありません。
シェフィールドにいることは(地理的な点で)良いことでしょうか?あるいはデザインのフィールドで活動するには、支障をきたすものでしょうか?結果として地域のクライアントとより仕事をしていると思いますか?
WIG-01にとってロケーションは問題ではありません。最近では世界中のクライアントと仕事ができるようになって来ています。外部の人たちが私たちに注目してくれるのが好きです。
現在私たちが仕事をしているほとんどのクライアントはロンドンからのものです。唯一の問題点と言えば、彼等に会いに遠出をしなければならないことです。でも逆に言うと、コンピュータースクリーンから一日離れられる、という利点もあります。
どのようなワーキング・プロセスをとっていますか?ご自身のスタジオは、純粋にプリントデザインのスタジオだと思われますか?または多様なメディアの中で働いていると思いますか?
私たちは二人ともデザイナーなので、どんなメディアでもデザインできます。アイディアを膨らまし交換しながら共に協力してプロジェクトを進めるというプロセスをとっています。
ポートフォリオを見て気付いたのですが、オリビエロ・トスカーニ監修のファブリカによる「プレイヤー」というプロジェクトを行っていますが、ファブリカとはどういった関係ですか?実際に会ったことはあるのでしょうか?
「プレイヤー」という題目でイメージと言葉を作ってほしい、とファブリカから葉書をいただきました。私はすぐに黒ペンで葉書に「プレイヤーがあごひげの男に話しかけている」と走り書きをしてファブリカに返信しました。それから一年後に、私のそのコメントが書かれた本を彼等が送ってくれたのです。
2001年12月号のクリエイティブ・レビュー(52ページ)のプロジェクトについて教えてください。
2001年10月号はのクリエイティブ・レビューは、DIY特集で、彼等は読者参加型のコンペティションを開催し、クリエイティブ・レビューの普及の為のデザインを募集しました。優秀作品は12月号で掲載され、WIG-01も優秀作品の一つに選ばれました。
プリント、ウェブ、ブロードキャストデザインには何か違いがあると思いますか?スタジオは全てのメディアの為のものであるべきだと思いますか?
各々のエリアには、各々に問題があるものですし、違う結果が出るのも当然です。WIG-01として私たちは、そのメディア内にある問題を理解しますし、それを問題とは思わずに新たなチャレンジとみなすようにしています。スタジオは、それがもつ長所に執着するべきだと思いますし、(幸運にも)WIGは、様々なエリアにおいて長所があります。
他のスタジオと比べて、WIG-01の大きな違いは何ですか?何がクリエイティブな作品を生み出す為の原動力ですか?
WIG-01は、お金に左右されません。と言いつつもお金は大切なものですが、収入だけのためにプロジェクトを行いたくないのです。作品の中では私たちはある程度の自由が必要ですし、私たち自身を興味のあるエリアに置く必要があります。クリエイティブな作品を作る為の私たちにとっての原動力は、いいグラフィックデザインを作る時や名案が浮かび上がった時に発生するアドレナリンのラッシュです。
これから更に飛躍する為にプランを立てたりしますか?将来的なプランはどういったものでしょうか?
数字で表されるような大きくなる為のプランは作りません。将来的なプランは、一緒に仕事を楽しめ、私たちの作品に敬意を持ってくれるような堅実なクライアントを得ることです。
Text: Matt Owens
Translation: Sachiko Kurashina