マルク・ングイェン

PEOPLEText: Satoru Tanno

全体的なフランス、パリのウェブデザインについて聞きたいと思います。何が今ホットなのか、興味深い動きはありますか?

パリで今、ウェブデザインがホットだとは思いません。少数のデザイン会社に多くの仕事が振り分けられています。大手の通信会社は、今人々を引きつけ、旧式のコミュニケーション手段を忘れさせようと努力していますが、文化的な問題に直面しています。フランスは今だに、ド・ゴールの国なのです。そして、アメリカ文化に対して強い反感を持っています。それでも、パリには革新的なものもいくつかあります。しかしそれらは、国際的な規模で何かを表現するにはあまりに小規模で、あまりにフランス的です。TVやトランスファーネットがリンクされるようになれば、フランスでも、インターネットはポピュラーになると思います。

パリ以外の場所で仕事をするとしたら、どこを選びますか?また、パリは好きですか?

実際に、アメリカが住みやすい所かどうか確認するために、明日パリを出発する予定です。サンフランシスコとニューヨークで一週間づつ過ごす予定でいます。パリについては、自分がこの土地を好きなのかどうかは、はっきりとは分かりません。そこに自分がいるから、その土地を好きなだけかもしれないと思います。しばらくはここでやらなくてはいけない事があるので、それから自分がここに居たいのか、そうでないのかを、自分自身に問いかけてみるつもりです。

日本はどう思いますか?

日本の文化には、多くのリアリティーがあるけど、その全部を評価しているわけではありません。でも、日本のクリエイター達の能力には、はっとさせられるものがあります。灰野啓二のようなミュージシャンや日本のファッションデザイナーや舞踏家たちは、深い文化的、伝統的な要素をミックスした、独特の可能性を持っていると思います。今、気に入っているのは、「ダム・タイプ」です。それは今言ったことの好例です。

好きなグラフィック、ビジュアルのデザイナーはいますか?

尊敬している人たちは沢山います。デヴィット・カーソンや、ピーター・サヴィルといった、有名なデザイナーたちや、ホイットニーブラザーズ、マルコム・マクラーレン、レン・ライ、それから、名前は忘れたけど、「歯の中の宇宙」というショートムービーをつくった人たちの、その人柄、ビデオアート、アニメーションの分野から影響を受けました。音楽やダンスからも影響を受けたし、クリス・カニンガム、ビスクや DJクラッシュにはすごく興味を持っています。

最後に今後の活動予定や、これからやってみたいことなどを教えてください。

今、最も興味のあることは、タイトルシークエンスのアートワークと、モーショングラフィックスです。ロンドンの映像フェスティバルに出品をしますし、ファッション関係のクライアントの為にも今も多くのビデオ作品を製作しています。

また、僕らがシャーマンで取り組んでいるオーディオ・ビジュアル系の仕事もきっと面白いと思います。これから4、5年はパリで活動してきたことを一段落させて、シャーマンをフランスにありながらも、より大きく特徴あるマルチメディアの活動母体としていきたいと思っています。

ウェブ/マルチメディア産業は日に日に大きくなっています。世界がデジタル・コミュニケーションで繋がれ、グラフィック・デザイナーはその将来に大きな影響をあたえるでしょう。その一旦を確実に担うべきですし、まさに、やりがいのある仕事だと思います。また、音楽、ビデオ、モーショングラフィックス、写真を用いたドキュメンタリー・アートにも専念したいと思っています。

Text: Satoru Tanno

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