KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2020

HAPPENINGText: Amelia Ijiri


Wing Shya “One Light, Different Reflections” presented by BMW at Kondaya Genbei Chikuin-no-Ma ©︎ Takeshi Asano – KYOTOGRAPHIE 2020

ウィン・シャの写真作品「ワンライト、ディファレント・リフレクション」は、歴史をある老舗の帯匠「誉田屋源兵衛」を舞台に、遠藤克彦建築研究所の空間演出によって、帯のように作品を一列に並べた展示を行った。シャの文化や世代を物語るリアルな作品が、写真の連続からなる一つの作品として、この保存状態の良い町屋を生かした展示となった。


Marjan Teeuwen “Photo Exhibition Destroyed House” “Architectural Installation Destroyed House Kyoto” at Itoyu Machiya ©︎ Takeshi Asano – KYOTOGRAPHIE 2020

マリアン・ティーウェンの破壊された家は、秩序と混沌の両方を生み出す作品として見せてくれる。今年の展示のために彼女とチームは、長屋を解体し地面に大きな穴を掘り、このブラックホールを2階の高さから見渡せる場所を作り出した。取り出された建材は隣の家に整然と積み上げられることで、再構築され建材の再利用への彼女の興味も表現されている。これらの解体された建物の写真は隣接した新しい建物に展示された。


Atsushi Fukushima “Bento is Ready” at Itoyu Machiya ©︎ Takeshi Asano – KYOTOGRAPHIE 2020

福島あつしの「弁当 is Ready」は、日本の弱者や高齢者のための弁当配達員の日常を描いた作品。時にはひどい状況に置かれることもある現代の高齢者(とはいえ壁に貼られた日記には、温かい食事を直接受け取ることができる幸運な高齢者であると作家は述べている)の姿からは、死を間近に控えた憂鬱さよりも、生きようとする意志が伝わってくる。


Ryosuke Toyama “LEADING LIGHT” presented by Kiwakoto at Ryosokuin Temple (Kennin-ji Temple) ©︎ Takeshi Asano – KYOTOGRAPHIE 2020

両足院(建仁寺山内)には、写真家外山亮介の10年に及ぶプロジェクトが収められた。「リーディング・ライト」は当時28歳だった彼が、この芸術の世界へ飛び込んだ時に撮影した職人たちのポートレイト「種」で構成されている。写真を実験的に始めた後、職人である父に「今は写真家になったんだから」と背中を押され、写真を撮ることを工芸品にする方法を模索した。そこで、ガラス板に光を固定して露光するアンブロタイプ(ガラス湿板写真)のコロジオン湿板方式を採用し、その手法を用いて10年後に同じ職人たちを撮影した「ものづくり」をテーマにした作品を作り上げた。

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