ピエール・スーラージュ回顧展

HAPPENINGText: Stephanie Bui (The Daily Couture)

2019年12月24日、フランス人画家ピエール・スーラージュは100歳を迎えた。現在開催中の「ルーヴル:スーラージュ回顧展」は、ルーヴル美術館にとっても、偉大なアーティストに敬意を示す貴重な機会となった。本展示のキュレーター、アルフレッド・パックマン(協働キュレーターのピエール・アンクルヴェは2019年2月に死去した)は、この展示会が「異例」であると語る。というのも、現代の著名な画家が存命中にルーヴル美術館で回顧展を行うのは、とても稀なことだからだ。


Portrait of Pierre Soulages © Collection Raphaël Gaillarde, dist. RMN-Grand Palais/Raphaël Gaillarde © RMN-Grand Palais-Gestion droit d’auteur pour Raphaël Gaillarde © ADAGP, Paris 2019 pour Pierre Soulages.

展示されているスーラージュの主な作品の多くは、フランスや海外の美術館から集められ、1946年から今に至るまでの彼の歴史を辿ることができる。80年以上もかけて手掛けてきた20作品におよぶセレクションの中には、つい最近手掛けた2019年10月のものもある。


Pierre Soulages, Painting, 220 x 366 cm, May 14, 1968. Paris, Musee National d’Art Moderne. Centre Pompidou © Archives Soulages © ADAGP, Paris 2019

スーラージュの独特なアプローチは、様々な要素から見受けられる。例えば、使用する素材(クルミの染みやタールなど)そのものや、彼本人が作成したペイントツールは、塗装屋がペイントする際に使うようなものだ。また、作品名をつける時も、技術、寸法、そして日付に基づいてつけるようにしており、変に観客の視点に影響を与えてしまうような作品名をつけたりはしない。

そんな彼の作品は、1949年に瞬く間に注目を浴びた。1948年11月から1949年7月の間に、シュトゥットガルト、ミュンヘン、デュッセルドルフ、ハノーファー、フリブール、フランクフルトで開催された巡回展で、彼の作品の一つが展示会のポスターとして選ばれた。当時、若手だったスーラージュにとっては、ハンス・バルドゥング、フランシス・ボット、フェリックス・デル・マール、セザール・ドメラ、オーギュスト・エルバン、フランティセック・クプカ、ジャン・ピアバート、ジェラール・シュネデールなどの名だたるベテランが並んでいた中で、観客から名を知ってもらう絶好の機会だった。

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