クララ・イー

PEOPLEText: Haru Murayama

アーティストとして一つの作品を向き合っている自分と、プロデュースやデザイナーとして多くの人と共に一つの場を作る自分との間には、どのような相違点があると感じていますか?どんなことを気を付けたり、どんな風に考え方を変えているか(あるいは変えていないか)をお聞かせください。

面白い質問ですね!このことについて私はかつてとても思い悩み、もがいていたのですが、こういった質問を受ける事は実はそんなに多くなかったです。

アーティストとして作品を制作する場合と、デザインディレクターとして振る舞うときに必要な心と気持ちの在り方は大きく異なります。それらは異なる刺激や物事を与えてくれるからです。私はかつて、こういったすべての役割は相互に繋がっていると考えており、それぞれの役割がどのように機能するのかを知るのは、大切なことだと思っていました。たとえば、アートプロデューサーがどのように計画し、技術者がその作品をように設計してくれたのか、ということを知ることで、アーティストとしてより良い制作ができる、といったようにです。逆にある時は、そういったすべての知識が、純粋で無垢なことに対して集中する時の妨げになる、と考えたこともありました。また、多くの様々な人たちが私に、異なるアドバイスを投げかけてきました。幾人かの人たちは“何でも屋”のように振る舞うことは誤っていると言ったし、また別の人々は、自分自身のポテンシャルに制限をかけず、多方面の知識を持ったジェネラリストであれ、とも言ってきました。

いま私はその時より少し成熟することができたので、かつてより快適に私自身をさまざまな役割や才能に当てはめ楽しむことができるようになりましたし、自分自身に具体的なラベルや言葉を当てはめて定義するといったことに割く時間も、少なくなりました。

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© Clara Yee

シンガポールに、ノマド・クリエイティブ・スタジオ「イン・ザ・ワイルド」を共同で設立されましたね。ここはどんな場所なのでしょうか。設立のきっかけや、現在の活動などをお聞かせください。

はい、そうなのです。「イン・ザ・ワイルド」というクリエイティブ・スタジオを、私を含む幾人かで創設しました。つい先日、シンガポールのリトル・インディア・ロードを離れ、ジャラン・ベザールという新しい場所に移ったんですよ。そこは古い商店の3階にある場所なのですが、自然光がとてもきれいに入ってくる部屋なので、大きなイチジクの木を室内で育てています。

私たちは、ブランディングのための、デザインにおける民族誌の研究や、ブランド体験におけるコンセプトのデザインまで、様々なプロジェクトに取り組んでいます。また、ちゃんとした医療を受ける事のできない子どもたちとのアートワークショップや、高齢者のためのアクティブなライフスタイル提案といったプロジェクトを、「グラティチュード・プロジェクト」と呼び、関心を持って取り組んでいます。


Shao Yen S/S 15, Animation Artist / Clara Yee, This is a Shao Yen project.

昨年、フォーブス・アジア版「30アンダー30(アジアで活躍する30歳未満の30人)」に選出されましたね。その選出を受けて、自分自身の周りで何か変化はありましたか?また自分自身の中で、何か心境の変化などはありましたか?

私は変わらず、ずっと同じ人だなと思います。受賞したことで私は何かになったというわけではないですが、以前よりも私が人と違うやり方で物事を進めることを、人々が受け入れてくれるようになったなとは感じます。フォーブスのカンファレンスとミーティングに参加し、同じような志や理想を持ち、自分自身の道を精力的に切り開いている30歳以下の人々と交流を持てたことは、大変興味深く面白い経験でした。そして、若い企業家や業界における成功者たちの間に、資源と知識を共有するにあたっての共通したテーマがあることにも気づきました。沢山のコラボレーションワークの話をし、そして今世界が直面しているさまざまな問題に対して、たった一人の人の努力や、たった一つの企業の活動で解決できるものではない、という共通認識も持ちました。大きな一つの企業が、太陽を遮るような時代は終わったのです。その代わりに、私たちは皆で集まり、ともにその成長を助け合うことが、公害や医療へのアクセス、はたまた経済政策の再定義に至るまで、今世界で起きている問題を解決する手助けとなり、そうする必要があると考えています。

今後の展望をお聞かせください。

この、とても楽しい冒険を続けられたらいいな、と思っています。そしてアジアから世界に対して、文化の懸け橋となれるようなものを生み出していきたいと思っています。そして、人間がより良くなっていく可能性を実現したいと考えています。

Text: Haru Murayama

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