アートベルリン 2017

HAPPENINGText: Kiyohide Hayashi

ベルリンの美術界が最も盛り上がる季節がやってきた。9月の中旬にはベルリン・アート・ウィークと呼ばれる大イベントが開催されるためだ。それに参加する美術館や文化施設では多数の展覧会やイベントが行われる。それだけでなく公式に参加していないギャラリーでも、イベントにタイミングを合わせて数多くの展示が開催される。そんな多数のイベントや展示の中で、特に注目を集めるのは美術作品の販売を行うアートフェア。中でも特に重要視されているのはアートベルリンだ。今回はそんなアートフェアを紹介することにしたい。

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art berlin Entrance © art berlin

2017年は今まで以上にベルリンのアートフェアに注目が集まった年かもしれない。なぜなら今まで開催されていたアートフェアに変化があったからだ。ベルリンには「abc」(art berlin contemporary)と呼ばれるアートフェアがあった。それが果たしていたのは美術作品を売るだけでなく、アーティストに焦点を当てた展示を行う役割。そのため従来のアートフェアの様に作品で満たされたブースを眺めるのでなく、大型の作品が並ぶ充実した展示を楽しむことができた。しかしabcは大きく生まれ変わることになる。2017年からドイツの都市ケルンで開催されているアートケルンと提携を結び、アートベルリンの名前でアートフェアを開催することになったためだ。

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art berlin install © art berlin

新しい装いとなったアートフェアは、ベルリン中心部にある展示ホール、ステーションベルリンで開催された。開催されたのは9月14日から17日までの4日間。今回からのコンセプトの変更によって、参加ギャラリーや販売される作品数でも大きな違いが見られた。abcでは参加ギャラリーは少なく、各ギャラリーが一人のアーティストに焦点を当てる展示を行なっていたため、展示されるアーティストの数が少なかった。だがコンセプトの変更により、今までの二倍近い120以上のギャラリーが参加することになり、多くのアーティストの作品を販売するスタイルへと生まれ変わったのだ。

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Ester Shipper © art berlin

アートベルリンが打ち出すコンセプトは目に見えるものとなり、多くの作品がギャラリーのブースを満たしている。ベルリンを代表するギャラリー、エスター・シッパーのスペースに展示されていたのは、大規模な国際展などで紹介される有名アーティストの作品の数々。壁には未来都市の在り方を提案することで知られるトマス・サラセーノの写真作品が掲げられている。一方、スペースの中心にあるのは、様々な工具が積まれた棚のインスタレーション作品。これは見えないものなどを感じさせる作品を生みだすカーリン・サンダーが手がけている。他にもロドニー・グラハムの作品など、ギャラリーに所属する有名アーティストの作品を見ることができた。

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