シンガポール:インサイド・アウト

HAPPENINGText: Haru Murayama

飲み口がぐにゃぐにゃと曲がったカップや、お皿に取っ手が付いたようなカップ、ソーサーがカップにくっついた形のカップ…不思議な形をしたカップが一列に展示され、その向かいに薄いカーテンで仕切られた喫茶スペースが設置されている。「CAFÉ CUP/カフェカップ」は、シンガポールの独立系リサーチラボ・アトリエ・ホコによる作品で、試験的に作られた17種類のカップを通して、おいしさを超えた“飲み物の楽しみ方”を提案した。

Cafe Cup (credit                         Christopher Sim)
“CAFÉ CUP”, Atelier HOKO, Photo © Christopher Sim

本作は「Science of the Secondary」という、“普段目にする日常の中の些細な事象を探求すること”をコンセプトとしたリサーチがベースとなっている。飲むことにフォーカスを当てたその研究を観客がより深く体験できるよう、実際に“飲むこと”を体験できる仕組みとしたのだ。

喫茶スペースに入る際、観客はカウンターで飲み物のほかに、どのカップを使うかを選んで注文することができる。私は唇の形に合わせて飲む場所を選べる「Your Curve Cup」を選択。さまざまな形にカーブする飲み口の中から自分にしっくりくる場所を探す作業は単にカップから飲み物を飲むよりも面白く、飲み口の形状によって飲みやすさがずいぶんと変わるということに驚かされた。また、飲み物と共に運ばれてくる小冊子には、彼らのリサーチの一部がまとめられており、飲み物を飲みながら“飲む”という何気ない行為を再考する気づきやきっかけを与えてくれた。

Merlion Daruma Workshop (credits to STB)
Photo © Singapore Tourism Board

その他にも、東京とシンガポールに拠点を置くキッチン・レーベルによるライブや、演劇家・イルファン・カスバンによる演劇作品といった、パフォーマンス作品も行われ、ワークショップやパネルディスカッションは多くの参加者でにぎわった。会場には連日2000人を超える人々が足を運び、本展は大盛況のうちに、その3日間の会期を終えた。

「ハイパーシティ」というテーマが示す通り、それぞれ高度に成長した文化を持つ成熟した都市であるシンガポールと日本。今回の展示作品は、その2都市の間に存在する普遍的な事象や、文化圏の違いによって生まれる差異を垣間見、再考させてくれたように感じ、シンガポールという国をこれまでより少し身近に感じることができたように思う。また、国境を越えた多くの作品は、その場に集まったさまざまな人の感性を刺激し、シンガポールという都市に対する一層の興味を生み出しているようにも見えた。今後ますます日本でシンガポールへの興味関心が高まることで、本展のようなシンガポールと日本の間でのさまざまな交流が活発化していくことを、心から楽しみにしている。

シンガポール:インサイドアウト 2017
会期:2017年8月25日(金)〜27日(日)
時間:11:00〜21:00(25日は14:00〜)
会場:バンクギャラリー
住所:東京都渋谷区神宮前6-14-5
TEL:03-6427-5834
http://www.visitsingapore.com

Text: Haru Murayama

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