「超日本」展

HAPPENINGText: Ayumi Yakura

時代が変わり、日常から伝統文化が失われつつあっても、日本人は“侘び寂び”や“粋”を始めとする“和”の心を持ち続けているのではないか?

非日常化した日本文化を日常へ。書、掛軸、日本画、屏風絵、襖絵、漆、盆栽、枯山水、能楽の音などの伝統から生み出された、現代人の心に響く新しいアート表現を行う5組の作品を集めた「超日本」展が、国内外で活動する北海道のアーティストの作品を取り扱う クラークギャラリー+SHIFT の開廊5周年を記念して2月4日から3月31日まで開催されている。

渡邊希 澁木智宏 超日本展 ワビサビ 葛西由香 アートフェア札幌2016 TOMOHIROSHIBUKI
ワビサビ「超」2016年,「超日本」展 題字

本展の題字として星を象った「超」をデザインしたワビサビは、そのユニット名にも表れているように、日本の伝統文化から発想したデザイン・アートワークも多数手がけている。

本展では、図案化された伝統的な署名「花押」(かおう)をモチーフとしたタイポグラフィーシリーズの掛け軸や屏風などを見る事ができる。花押は明治以降、印鑑の普及に伴い日常ではほとんど見られなくなったが、彼らは漢字のみならずアルファベットも取り入れて図案化し、署名の役割を超えた現代の花押を作り出した。

ワビサビ
ワビサビ「God is in the details」2014年, 手漉き伊勢和紙・木・インクジェット

伊勢神宮内におけるグラフィックデザインのイベントで2013年に発表された伊勢和紙の掛け軸には、花押で「God is in the details」(神は細部に宿る)と書かれている。屏風絵「発光」にも共通し、文字の意味が絵画的に図案化されているようだ。

TOMOHIROSHIBUKI 澁木智宏 枯山水
澁木智宏「niwa」2013年, ウール・鉄/ワビサビ「発光」2015年. 1,800 x 3,600 mm, 木・和紙・インクジェット

ギャラリーの床面に広がる枯山水など、一見すると石のように見える作品は、敷き詰められた砂紋まで全てウールを素材として制作された澁木智宏の作品だ。大地のかけらである石は、私たち人間には計り知れない大きな時間の流れの中に存在しているが、本作における視覚と触覚のギャップは、人々を笑顔にしながら、空気のように常に身の回りにある石という存在に改めて目を向けさせてくれる。

日本人の根底には、何かを見立てて愛でるというものの捉え方があり、石を用いて大いなる自然観を表現してきた文化がある。世界中の誰にとっても身近な存在である「石」をモチーフにユニークな手法で日本文化を表現したこの作品は、本展の展示作品が全てそうであるように、国境を超え“和”の心を世界へ広げる可能性を孕んでいる。

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