弘前デザインウィーク「りんご」

HAPPENINGText: Tomohiro Okada

日本の特徴としてすぐ頭に浮かぶ、春の景色「さくら」、秋のくだもの「りんご」の名勝地として知られる、東北のより北部に位置する青森県の弘前市。デザインによる街づくりを掲げ、今年から「HIROSAKI DESIGN WEEK」というプロジェクトを開始している。この街の特徴であり、市民にとっての楽しみにし、近年は東アジア一帯から行楽客を集める2つのシーズンに「デザインウィーク」は開催されている。ひとつは、3メートルを超す雪から解放され無数の桜の花に街全体が包まれる春、もうひとつは、りんごがたわわに実り、紅葉に包まれる秋の開催。今回、りんごなど豊かな農の実りと紅葉が色づきはじめ、街が華やぐ10月に開催された秋のデザインウィークを探訪した。

今年からのプロジェクトである「HIROSAKI DESIGN WEEK」であるが、もともと、この街の暮らしには自然とデザインが溶け込んでいた。日本にあってとても北にありながら豊かな産品を背景に、京都や遠く中国と交易を古くから行ってきた弘前のある津軽地域は、古くから上質な生活を支える工芸が盛んにつくられ、その気風が現在につながり、それぞれの時代の先進と溶け合った文化が根付いている。

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この地で生まれた現代芸術家の奈良美智が、地域の人々とともに、海峡を隔てた北海道のウイスキーで知られる「ニッカ」の旧シードル工場(リンゴの発泡酒)でつくりだした「AtoZ」は、日本のおけるアートプロジェクトの先駆として知られ、その際の記録をとどめた奈良による犬の彫刻が今なお、この古い工場の赤煉瓦の建物に収められ、市民や観光客にとってのシンボルになっている。

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デザインウィークでは、今後、市によって文化的憩いのエリアとなる、街の中心にある旧シードル工場とそこに面した公園のデザインを、街に住む少年少女たちが提案するという「こども・まちづくり塾」が開催された。この「塾」は、国際的な建築家である伊東豊雄が次の世代の建築家を育成するために建築を学ぶ学生を選抜して行っている「伊東建築塾」で学び・教えるメンバーが、地元の建築を学ぶ学生たちと一緒になって、地域の少年に都市計画や設計の基礎を手ほどきし、実際の「まちづくり」を少年自身の手によって構想できるようにしようという、シビックプライドを高め、次の世代が街に積極的に関われるようにする仕組みである。下は小学生から上は高校生まで、地元の大学生とともに世代をこえた共同作業で、日常から生まれた創造力が実際の都市計画模型となって落とし込まれていった。

ユネスコ世界自然遺産「白神山地」を擁する弘前地区、白神の山々がもたらす何十種類にもわたる多彩な木材に代表される豊かな恵みは、今なお工芸を息づかせる街となり、工芸家として活躍する若い世代が多く活動する街でもある。

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こぎん刺し

特に、木工の粋である漆工芸の「津軽塗」、刺繍ファッションである「こぎん刺し」、武士の刀剣鍛造に起源を持つ包丁や日用刃物などの「津軽打刃物」は、今なお新たな意匠の探求を続け、全国に多くの愛好家を持つ。例えば、パフュームを見出し、マネジメントをしているアミューズ創始者の大里洋吉は「こぎん刺し」のアートワークとしてのコレクターとして知られている。

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津軽で栽培されているりんごの木を集め、花や実る姿を実際に見ることができる、りんご公園に移築された、古民家で開催されたフォーラムでは、イタリアのクラフトと日本の伝統技法を融合させることにより国際的なヒットプロダクトを多数送り出してきた、プロダクトデザイナーの喜多俊之が、これら若手工芸家に対し、それぞれの伝統技法をあわせた商品開発の手法や展開について手ほどきを行った。

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