ジェイコブ・ハシモト

PEOPLEText: Aya Shomura

アーティスト、ジェイコブ・ハシモトの個展「世界初の月面着陸」がニューヨークの五番街にあるメリー・ブーンギャラリーで開催されている。彼の作品は、絵画と彫刻を組み合わせた複雑な天体模型のようだ。彼の作品のコンセプトなどについて伺った。

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ジェイコブ・ハシモト Photo © Anna Wierzbicka

まずはじめに自己紹介からお願いします。

日本人とアイルランド人の血を引くアメリカ人アーティストです。コロラド州のグリーリーで1973年に生まれました。ワシントンのワラワラで育ち、カールトン・カレッジシカゴ・アート・インスティチュートに通いました。現在はニューヨークに住み活動しています。

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「増加する立方体と理想的な配列の予想外の凸凹」2016年、UVインク印刷、紙、樹脂、ケブラー、竹 Photo © Erin O’Hara

アーティストになろうと決めたきっかけは何ですか?

私の母は地元のアーティストでした。町で展覧会を開いたり、いつもアートの講座をとって試行錯誤していました。そんな母からアートへの関心を譲り受けたこともあり、アーティストになることは常に頭の中にあったように思います。でも最終的にはカールトン・カレッジに通う中で決めました。

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「増加する立方体と理想的な配列の予想外の凸凹」2016年、UVインク印刷、紙、樹脂、ケブラー、竹 Photo © Erin O’Hara

あなたの作品のコンセプトを教えてください。

よく言われるのは、私の作品はコンセプチュアル・アートの枠から外れているということです。こういうことを聞かれているのではないですよね。でも「コンセプト」の定義をここではっきりさせておくことは大切でしょう。「コンセプチュアル」という言葉は私たちがアート作品を考える上で非常に多くのことを意味すると思うのです。とは言うものの、私の作品は風景をベースにした抽象です。その出発点から、他の種類の視覚的ジオグラフィーに語りかけるように外側へ放射し、また他の方向へは私たちの周りの世界に広がる暗号を解読し、視覚化し、再考するように放射します。殆どの良質なアート作品は、鑑賞者にアーティストの思考に短時間で踏み込むことを許容し、鑑賞者はその思考の中で、彼らの考えや経験と同じもの、また異なるものを見つけるでしょう。

作品作りのインスピレーションはどこから得ますか?

世間話や、現在の興味、アートの歴史、旧式の科学、マッピングシステム、記号論、反復するものなどです。時間とともに変動するものなので、アート作品に特化した議論の外で特定のインスピレーションを突きとめるのは難しいです。

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「絶対に来ない明日」2015年、錬鉄、木、プラスティック、段ボール、ビニールシール Photo: Michele Alberto Sereni

2015年にイタリア、ヴェローナのスタジオ・ラ・チッタで展示した「絶対に来ない明日」のインスタレーションについて教えてください。

この作品は何年もかけて制作した彫刻インスタレーションです。3つの構成要素から成っています。カエデ材の立方体がそれぞれに、そしてギャラリーの壁に固定され連なり、雲のようなアーチを作り、ギャラリースペースに広がります。巨大な煙突のようなスチールと熱可塑性プラスチックで出来た骨組み、そして何千枚ものシール。各パーツが組み立てられ、集められていくイメージです。この要素の中には、何年にもわたる私のヒーロー像と関心事により描き出される自画像が見えるように思います。ソル・ルウィットの「進行形」の彫刻を基にすれば、ここで言うシステムを見出すことは容易いことでしょう。そのシステム上で、モトクロス、自転車、スケートボードのステッカーが何層も重なっています。

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