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超京都 2013 現代美術@平成の京町家

HAPPENINGText: Chiaki Ogura

京都ならではの住空間の中で、世界にも認められている現代美術工芸を間近で見られる機会はなかなかないだろう。今年で第3回目をむかえる超京都。第1回目「現代美術@杉本家住宅」、第2回目「現代美術@名勝渉成園(東本願寺)」に続き、今回は「現代美術@平常の京町家」と題して開催された。京都の伝統的な工法や地域産材によって建てられたモデル住宅5棟を舞台に、国際的に活動している国内外の7ギャラリーから選りすぐりの作品たちとのコラボレーション空間が楽しめるものであった。

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「shift」水谷イズル, 2013, ビデオ・サウンドインスタレーション

水谷イズル(ヨシアキ・イノウエ・ギャラリー)は、平面・立体を組み合わせた作品や光や映像、水などを使ったインスタレーション作品を主に発表している作家だ。
その部屋は和室。笛の音が静かに響く中で、線香に火を付けて煙をたててみる。立ち上る煙の向こう側に液晶画面に映し出され、一定の速度で慌ただしく増えて行く数字の羅列。右側のある3つのふすまに青白い映像が映し出される。これは、デジタル映像化された線香の煙のゆらめきである。線香は物質、数字は現在の時間を表し、これらが煙となって時間の中を生き、最終的に記号の概念へと変わって行く。

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「drop of the sky」水谷イズル, 2009

水の入ったガラスに映し出される、雲の移り変わる姿。映像は一定ではなく、時間とともに変化していく。映し出されたひとつのつぼみが花開き、咲き誇り、次第に散り形がなくなるまでの過程を描く。水谷イズルのインスタレーション作品に共通しているのが、「生から死」という永遠のテーマ。光やガラス、映像という題材を用いて美しく表現されている。

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「present-chinese chair」宮永愛子, 2009

ミヅマアートギャラリーからは、会田誠や、O JUN などの作家6人の作品が見られた。中でも宮永愛子の作品は、昇華性を持つ “ナフタリン” を使用するものだ。日用品をナフタリンでかたどったオブジェの他、塩を使ったインスタレーションなども制作している。ナフタリンは吹き付けたあと時間をかけて徐々に昇華していき、少しずつ結晶に姿を変えていく。この作品のイスも形を変えながら時を刻み続けていくのだろう。いつかの記憶か想い出のように。

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