アート・アパート・フェア 2013

HAPPENINGText: Fann ZJ

パークロイヤルホテルの常連客たちは週末、いつもとは違う新しさに迎えられた。空気の流れが良いホテルの廊下に行き渡る新鮮で心地よい風ではなく、常連客たちを待ち構えていたのは広がる緑と噴水の間にたたずむ絵画作品の数々だった。コンラッドホテルで1月に開催されたワールズ・アパートに続き、ピッカリング通りに位置するパークロイヤルの高層階からの景色と緑を楽しめるアート・アパート・フェアは、ゆえに上空高い場所で開催されるアート・フェアだった。

Art Apart Fair

このアートフェアは韓国の強い存在が感じられる中(K-Popやキムチを思い出してほしい)、あちこちで地元のギャラリーや、中国、日本、スペインからの出展もみられ、18のスイートルームは真面目なものから不思議なものまで様々な作品で飾られていた。

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地元のアーティスト、リユの「幸福、繁栄、成長」は、シンガポール特有の厳しい掟を作る気風についての作品であり、シンガポールの紙幣から肖像と材料となる素材を切り抜いて、まったく新しい、こちらへ問いかけるような景観を作り出している。

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リー・スン・オーの虹をレイヤーで表現した作品は、離れたところからは油絵のように見えるが、近寄ってみると、実は絵画ではなく、紙を重ねて制作されたコラージュだと気づくはずだ。

リー・ユー・リンの「中国の未来」と名付けられた作品は、巨大な筆を走らせて中国の農村地区の子供たちを描き出している。色数が少ないなかで、土質な色が部屋の暖かい雰囲気と合っている。

絵だけではない。インスタレーションや他の物がベッドや棚に一緒に置かれていたことで、普通のホテルでの催し物のように部屋に馴染ませようとはせず、新鮮な空気を運び込んでいる。作品たちが通常の枠を越えた形で飾られているなかで、普段のように観光客やビジネスマンの宿泊客ではなく、代わりにいくつもの作品が便器や浴槽、さらにはシャワーに掲げられているのは不思議な感覚だった。

ここ数年、アートに興味がない人にも作品に触れてもらおうと、ギャラリーを飛び出してオフィスや一般家庭、そしてホテルのスイートルームに作品が飾られている。また、インスピレーションが作品に生まれ変わるアーティストのアトリエに作品が戻ってくるのが待ち遠しい。ひとまず今は、空の下で作品を鑑賞しよう。

Art Apart Fair
会期:2013年7月5日(金)〜7日(日)
会場:Parkroyal on Pickering
住所:3 Upper Pickering St, Singapore 058289
https://www.artapartfair.com

Text: Fann ZJ
Translation: Yuki Mine
Photos: Fann ZJ

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