オープンリールアンサンブル

PEOPLEText: Yu Miyakoshi

今でも遊びの要素もあるのですか?

和田:遊びの連続ですね。実験、実験の組み合わせで。その中からどんなことが生まれるのか、という。

難波:オープンリールは、遊んでるうちにどんどん拡張していってるんですよ。ここがこういう風に伝わって音が出た、じゃあこれを自動でできたらいいね、ってことで機能が追加されていっていて、今では最初の頃とは比べ物にならないくらい色々付いています。

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機械から生まれた音が音楽になってしまう、というのが不思議です。

和田:何でも音楽になりますからね。(と言ってそばにあった空き缶をはじきながら)誰でもできるんですよ。楽器だとか楽器じゃないっていうのは、その人が「楽器だ」って言っちゃえば楽器になっちゃう、と思っていて、それをどう演奏するかというところに面白さがあるのかなぁ、と思います。

ジャムのように、5人で演奏した時に掛け合いの中から生まれてくる音楽というのはあるのですか?

和田:ありますね。思考のパズルでもあるし、即興だったら探り合いにもなるし、何か作っていく時に、かけ算みたいなところはあると思います。最初にセッションをして「いいね」って思った部分をコラージュして一曲に仕上げるという感じ。今日のライブは作りこんであって、物語も練ってあるんです。

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アルス・エレクトロニカでの一幕。(オーストリア 2011)© a.kold

オープンリールアンサンブルの音楽は、実験的でありながらも分かりやすいというか、エンターテインメントな感じもありますよね。

吉田(悠):もしかしたら、録音して再生するっていうところに執着してるっていうところが、一つの分かりやすさかもしれない。

和田:展開や構成は大事にしています。これからの課題でもあるけど。音楽の構造が、オープンリールを通すことで見えるということもあって。録音して再生するっていう、それだけのことに宿ってる感動を追体験できるように曲をつくったりもしています。

吉田(悠):録音機を使って何ができるか、というところに僕らがやっていることは集約されている。それが音楽的に実験的か、ポップかっていうことを横断して、分かりやすさになっているのかもしれないです。

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アルス・エレクトロニカ公演にて、スタンディング・オベーションへ向かって。(オーストリア 2011)© a.kold

アート方面からのオファーもありますが、アートとしての表現は意識されていますか?

和田:一つの文脈だけで語れてしまうのは面白みがないのかな、と思っているので、横断的な活動を展開できればと思っています。でも枠組みからものをつくったり、価値を変形させてみたり、そういった点はとにかく大事にしていきたいですね。

難波:逆に、オファー頂いたイベントに僕らも触発されています。それこそこないだのG/Pギャラリーでやったデモンストレーションだとすると、こういう環境だったらこういう表現やりたいね、という感じで。

佐藤:だから、また完全に音楽方面のところから呼ばれたら変わると思います。

難波:今日はオーストリアのリンツで開催されたアルス・エレクトロニカの公演の時に形になったものがあって、それを演奏するんですけど、即興の部分もありますし、来月からはまた変わると思います。アメーバ的な感じなのかもしれないです。その時、その場所で変化していくという。

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