シェイ・スタジアム
PLACEText: Julio Cesar Palacio
少し前の話なら、たまたまニューヨークに来ていてどこかコンサートに行きたくなったら、バワリーやローワー・イースト・サイドに行けば毎晩いろいろなコンサートを選べたものだ。最近は、同じ目的ならブルックリンへ行くべき!このこと自体はそれほど目新しい情報ではないし、きっと皆も既に知っているに違いない。しかし幸いなことに私はブルックリンで、バンドで演奏する機会を得たので、インディペンデントのDIYミュージック事情について少し詳しく知ることができた。
我々が演奏した会場は最高だった!これまでライブを見に行ったり演奏したりした中で一番の場所だった。DIYのアンダーグラウンドなライブハウスだからといって、プロフェッショナルでないとか、なりゆき任せの現場だということはない。海外から来た我々を温かくもてなしてくれ、我が家のようにリラックスさせてくれた。そして音質やセットアップには細やかに気を配る。素晴らしい!
ブルックリンにあるこの素敵なライブハウスは「シェイ・スタジアム」という。(そう、懐かしいメッツの野球スタジアムの名前と同じ。)ここの一番素晴らしいところはコミュニティやネットワークについての考え方だ。バンドや音楽好きの人達は、ニューヨークにある他のDIYライブハウス「デス・バイ・オーディオ」「グラスランド」「サイレント・バーン」「285 ケント」などでたっぷりと音楽を楽しむことができるのだ。
シェイ・スタジアムのユニークさは、その音楽の選び方に表れている。これまでに演奏してきたバンドには、マジック・マーカーズ、プリンス・ラマ、ブルース・コントロール、ラッキー・ドラゴンズ、フューチャー・アイランド、ジェフリー・ルイス、スティーヴ・ガン、ダスティン・ウォンなどがいる。シェイ・スタジアムは毎週(ほとんど毎日)素晴らしいアーティストを招いており、どんな年代でも楽しめる。でももしニューヨークに来られなくてもご心配なく!彼らはなんと全てのコンサートをレコーディングし、ウェブサイトで発信しているのだ。なんという素晴らしさ!
自分の演奏が終わった後、私はシェイ・スタジアムのスタッフ、ノラ・ダブダブに会い、この場所についてもう少し詳しく教えてもらった。
シェイ・スタジアムの成り立ちを聞かせてください。
創設者のアダムは、プロデューサーでありエンジニアです。彼はいろいろなライブができていつでもそこにあるスペースを持ちたいと考え、ライブハウスを作りました。
それはいつの頃ですか?
2008年です。この年、ニューヨーク・メッツの野球スタジアムである本物のシェイ・スタジアムが壊されました。アダムと彼の親友、ショーンはメッツの熱狂的大ファンだったので、ライブハウスをシェイ・スタジアムと名付けようと冗談で話していました。そして実際そうしてしまったのです。そんな風に始まった彼らの事業の一番大きなポイントは、全てのライブをレコーディングして誰もが聴けるようにするということでした。そこでアダムはライブハウス「マーケット・ホテル」の友人達の助けを借りて、新しいスペースを建てたのです。全ていちから自分達で作ったそのスペースは、今の場所からは数マイル離れたところにありました。1ヶ月程いましたが、騒音への苦情などがあったのをきっかけに、今あるこの場所に引っ越したのです。
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