中国映像芸術1988-2011

HAPPENINGText: Emma Chi

中国映像芸術展」が9月9日から上海の民生現代美術館で開催された1980年代末から活躍する57名のアーティストによる、およそ70の作品が展示されている。館長のハー・ジューシン(何炬星)は語る。『今展示は学術的な視点をもとに、当時の映像作品の発生やそれらがつくり出した文化と芸術の情況をできるだけ客観的に、如実かつ総体的に反映させています。歴史への回顧だけではなく、未来への探索でもあります。今という瞬間はいずれ歴史になります。また、若さには往々にして創造力が宿っているものです。』

中国映像芸術1988-2011

中国の映像芸術には欧米の映像芸術が発展してきた歴史と異なる点がある。欧米には、1960年代から始まった映像芸術、1970年代の実験的映画や1980年代に流行したMTV、1990年代に出現したアーティスト映画のように脈々と続いた映像史を持っている。そしてコンセプトによって定義付けされた歴史やカテゴリーなどがある。それに対し中国映像芸術の発展の流れは独特だ。1980年代末から90年代初頭にかけて、テレビが一般家庭にまで普及した。この変化に合わせ、あるアーティストたちは新しいメディアを利用した芸術が革命を起こす可能性を探り始めたのだ。中国人アーティストのジャン・ペイリー(張培力)、イエン・レイ(顔磊)、チウ・ジージエ(邱志傑)らが、最も早い時期にこの新しいメディアによる創作を実践し始めた。

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1990年代、中国では映像や写真、インディペンデント映画などの創作が絶頂期を迎えた。1994年頃になると中国アートにメディアの変革が起こり始め、アーティストたちはカメラなどのメディアは起こったことや事件をただ単純に味気なく記録するだけの道具ではないことに気付く。映像芸術にたずさわる彼らは、メディアそのものに思考に刺激を与える力があると発見したのだ。

2000年前後の中国アート界ではすでに、ショートフィルムや映像インスタレーションが映像芸術の主流な発展スタイルになっていた。中にはインスタレーションやパフォーマンス、映像などの多様なフィールドを自由に行き来し始めるアーティストもいた。また、技術の発達は機材のより一層の低価格化を可能にし、パソコンを使い編集を行うアーティストは更に豊かな効果を追求し始めた。2006年から2011年の間には多種多様な映像が出現し、新しい世代の映像クリエイターたちの間でもさまざまな試みが実践された。例えば、2005年には杭州のウー・ジュンヨン(呉俊勇)などのアーティストが新しいMTVスタイルの動画でつくった作品「お金を手に入れるまで」にはネットの“閃客(Flashを使って動画を作る人)”の影響が見受けられ、普遍的な価値から外れた時の人の荒唐無稽さを表現している。これらの中国の映像芸術に関してアート評論家のジュー・チー(朱其)が詳細に解説してくれた。

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一般的に中国では1990年代に映像、写真、インディペンデント映画のような形態のアートが絶頂期を迎えたと考えられていますが、これについてあなたの考えはどうですか?

90年代の中国前衛アートは主に2つの段階に分けることができます。前期と中期は主にインスタレーション、パフォーマンス、写真や映像などのメディア上の表現における広範囲な実験と使用が行われました。90年代後期になると中期で実験した全ての手段を用い、社会や文化批判のようなテーマが表現されました。

では中国の映像芸術の開拓者は誰でしょう?

早くから映像を用いたアートを実践していたのはジャン・ペイリーです。彼は1988年にはすでに映像を使い自分自身のコンセプチュアルアートを記録しています。例えば「30×30」という作品ではガラスが割れる過程が表現されています。1990年代初頭になると、シングルスクリーンのテレビ映像とインスタレーションを組み合わせたコンセプトアートを制作し始めました。例えば彼の映像作品「(衛)字3号」(1991)では片手で1羽の雌鳥を洗う過程を通して、文化の厳かさに対する皮肉を表しています。この作品には同年に上海で開かれた「車庫展」に参加した時の映像インスタレーション形式を用いました。一つの映像を4つのモニターで流し、その前には組み合わせた建築用のレンガを配置したインスタレーション作品です。

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2000年以降の中国映像芸術の動向はどうですか?

技術面で言うならば、両極に向かっていると思います。一つは工夫を凝らしローテクスタイルを追求するもので、簡単な撮影や編集以外でデジタル処理技術をほとんど用いないものです。もう一つは1990年代末から中国で普及し始めたコンピューターによる映像の制作や処理技術、例えばインタラクティブなものや、ゲーム、Flash、デジタル合成技術などを大々的に使用するものです。また別の流れとして、映像芸術の境界線内で映像の技術言語や映像実験そのものだけに注意を向けるのではなく、個人として社会や文化に対する批判をテーマにしたものもあります。

代表的なアーティストとしては誰が挙げられますか?

2000年前後のツイ・シウウェン(崔岫聞)、ツァオ・カイ(曹凱)、シュー・ジェン(徐震)です。彼らの影響はローテクスタイルを通して社会批判、現代性、青春芸術といったテーマを表現するということに現れています。彼らはテーマが表す障害に対し映像技術を落とし、能動的に視覚をドキュメンタリーのようなスタイルに変化させている。パフォーマンスについては2000年以降、演劇的で叙事的なものに向かっています。特にフェミニズムをテーマとするものの中で、チェン・チウリン(陳秋林)とツァオ・フェイ(曹斐)の作品は女性の目線で制作されています。青春芸術とポストモダンの演劇性が一体となった映像作品になっています。チェン・チウリンの「別れの賦」は一種のフェミニズムのセンチメンタル的雰囲気が感じられます。ツァオ・フェイの「失調257」と「犬」は、映像叙事におけるメロドラマ的要素が更に備わっています。

中国映像芸術1988-2011
会期:2011年9月9日〜11月27日
時間:10:00〜21:00(月曜休館)
会場:民生現代美術館
住所:上海市長寧区淮海西路570号F座
TEL:+86 21 6268 8729
入場料:20元
http://www.minshengart.com

Text: Emma Chi
Translation: Daiki Kojima

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