シブカル祭。2011

HAPPENINGText: Yu Miyakoshi

シブカル祭。では、この他にもトークショーやワークショップといった参加型の企画が用意されていた。クリエイターの生の声を聞くと、ただの展示は何倍も面白くなる。

トークショーの後は毛利悠子、美波など総勢23組のクリエイターを紹介する美術部のスペースへ。ビビッドなカラーと繊細なドローイングで目を惹いたのは、今年の6月にアンネの日記をテーマにした「親愛なるキティーたちへ」を出版し、ポリティカルな面からもアプローチをしている小林エリカの作品。

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小林エリカ「My Love and Fallout」

ヤギ、コスモス、木立などを描いたドローイングは可愛いながらも寂寥とした空気を伝えてくる。紙の右下には数値と「μSv/h」(マイクロシーベルト/時間)の記載があり、小林エリカが福島や東京でスケッチを行った場所の放射線量が書かれている。線の一本一本に凍り付くような緊張感と柔らかな眼差しが同居していたのは、そのせいかもしれない。

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小林エリカ「Marie Curie, HALF-LIFE」

白い木枠に収められていたのは、キューリー夫人のポートレイト。放射線量の高い場所に赴き絵を描いたということが、研究によって被爆し続けた夫人への思いをはせることになったのだろうか。また、キューリー夫人にフェミニストの先駆的要素があったということが、トークショーで聞いた内容とリンクしていることにちょっと驚く。

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KATHY「Secret Garden」

黒い布で顔を覆い、表情を表すことを禁じられた少女たちが遊ぶ、KATHYの作品はちょっと恐くもあるけれど、小女性を押し殺されると同時に、増幅されてもいる。三人の少女はKATHYの使い手ではあるけれど、固有の誰かではない。どこか懐かしい写真を見ていると、他人のはずの少女たちが過去の記憶の中に存在していたかのような既視感を誘う。

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Chim↑Pom「ELLIE THE POP 0」

チン↑ポムの作品では、メンバーの中で紅一点であり、スーパーポジティブを体現するエリイをフィーチャー。今回のシブカル祭。のコマーシャルの中でエリイが言った『だってエリイからアート取ったら何にも無いもん。何にもないんだったら、やるしかないじゃん。』という言葉は、クリエイター女子の心を刺激する。(おそらく女子ならずとも。)アーティストのインタビューを含む60秒CMはオフィシャルサイトで見ることができる。

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