ワビサビ「BLACK BEAUTY」展
HAPPENINGText: Alan Smithee
タイポグラフィーとカリグラフィー
クロスホテル札幌で、札幌を拠点に活動するグラフィックユニット「ワビサビ」の新作展「BLACK BEAUTY – タイポグラフィーとカリグラフィー –」が開催されている。これは同ホテルと同じく札幌を拠点としている本誌SHIFTとのコラボレーションによるアートプロジェクトで、札幌及び北海道のアートをホテルを媒体に発信していこうという試み。3ケ月ごとに展示を入れ替え、年4回、1年間に渡り展開するプロジェクトの第2弾だ。
第1弾の北海道・帯広出身の矢柳剛のカラフルな世界とは対照的に、今回のワビサビ新作展は、モノクロ一色。現代的で日本的な美を感じさせる作風のワビサビのグラフィックアートはモダンでスタイリッシュなクロスホテル札幌の空間にとてもマッチしている。
ワビサビは、1999年に工藤“ワビ”良平と中西“サビ”一志によって結成されたデザインコンビ。アドバタイジングから、グラフィックデザイン、オブジェ、映像、インテリアまで多方面での制作活動を行っている。ワビの主宰する「デザ院株式会社」所属。ワビはバンド「弥勒ジャーナル」でベースを担当し、音楽活動にも力を入れている。
本展では、クロスホテル館内で、ワビサビの代表作であるオリジナルタイポグラフィー「ホルモン」、カリグラフィーシリーズの「ギター」「ボンサイ」、そして新作「花押」シリーズと、新旧織り交ぜての展示を行っている。第一回東京ミッドタウンデザインアワードで準グランプリを受賞した「エアボンサイ」をはじめ、オリジナルグッズの展示・販売も行っている。
本プロジェクトは、街なかでアートを楽しむ機会を増やすという「まちなかアート」プロジェクトの一環として開催されている。同プロジェクトは札幌市内のギャラリーとSHIFTが共同し、札幌市内の飲食店、美容室、病院などの店舗・公共空間にアート作品を展示し、アートを身近に感じてもらうというもの。良質なアート作品を提供することでアート作品に興味を持ってもらい、ギャラリーへ足を運ぶことや作品購入の機会創出にも繋げるという目的もある。
ホテルは旅行者にとってその都市の玄関口になる場所だ。アートを含め都市の文化情報を発信するには最適な場所といえる。さらにはそのような場所でその都市のアート作品が見れることは、その都市の芸術文化を印象付けることに繋がる。機会の創出だけでなく良質な企画を続けることが重要になってくるだろう。今後の展開にも注目していきたい。
ワビサビ「BLACK BEAUTY – タイポグラフィーとカリグラフィー –」展
会期:2011年9月9日~11月30日
会場:クロスホテル札幌
住所:札幌市中央区北2西2
キュレーション:SHIFT
主催:クロスホテル札幌 011-272-0051(企画部)
協力:クラークギャラリー+SHIFT、まちなかアート、株式会社正文舎
連携企画:札幌ビエンナーレ・プレ企画2011
http://crossmet.jp/sapporo
Text: Alan Smithee
Photos: Ryoichi Kawajiri