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ハー・ディーチウ

PEOPLEText: Emma Chi, Yu Xiaowen

新世代の彫刻家ハー・ディーチウ(賀棣秋)は湖北出身の1972年生まれ。現在は、「上海」という人々の思想がひしめく都市を仕事の拠点としている。そのことは彼に、より社会に目を向けた作品を作らせている。彼の作品はまるで気軽でユーモラスな映像ゲームか記号遊びのようであり、そこにはポストモダンの色がはっきりと見える。アクアギャラリー上海での最近の展示作品はテーマはそれぞれ違うものの、一貫したスタイルを保っており、その中には歴史をテーマとした「革命的模範劇シリーズ」と現実をテーマにした「夢遊病シリーズ」も含まれる。

ハー・ディーチウ

70年代に生まれた彫刻家として、また改革開放後に育った芸術家として、あなたの作品は社会批判をテーマにした作品が多いように思うのですが、これは現在のアート界において比較的ポピュラーなテーマだと思うのですがどうですか?

社会批判というテーマは確かにとてもポピュラーですが、これは中国において伝統的に存在しているテーマでもあります。確かに昔の彫刻や絵画においては社会的要素はあまり強くありませんでした(中には隠喩的な手法で社会性を描いた作家もいました)。しかし、文学においては社会批判というものが常に存在し、そのような作家を挙げるときりがありません。改革開放以降、ヴィジュアルアートにおいても社会批判の要素が強くなってきました。最近ではコンセプトアートが強調するのは社会批判です。特にこの種の理論の推進者であるワン・ナンミン(王南溟)はアートそのものから社会批判について考えています。私が最初に扱ったテーマは“革命的模範劇”でした。革命的模範劇はそのものが政治的意味を持つテーマです。それ以降の作品も自然と社会的な要素が強くなりました。このことも、テーマの延長と言えるでしょう。

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Model Opera – Ode of Long Jiang

「夢遊病シリーズ」の中の「引き延ばされた銃を持つ若者」は聞くところによるとパソコンを使って先に引き延ばしてから制作したそうですが、どのように彫刻とパソコンを組み合わせたのですか?

初期の「革命的模範劇」から「夢遊病シリーズ」まで、私の全ての作品は先にパソコンで変形させてから彫刻に転化したものです。つまりは二次元(平面)を三次元(立体)へと転化し、最後は三次元を使って平面効果を生み出すと同時に、彫刻の持つ立体感や奥行き感を消すのです。

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Model Opera – The Harbor

あなたの作品にはあまり統一感を強く感じないのですが、あなた個人はどのように考えていますか?

私は自分の作品にはとても強い統一感があると思っています。全ての作品はヴァーチャルな変形をし、部分的な変形、全体的な変形に関わらず叙事的です。変形やストーリー性、芝居感が私の作品の統一感。私は必ずしも全ての作品を、同じように作る必要はないと思います。それは統一感ではありません。そんな展覧会ならば作品を一つだけ見たら、もう他の作品を見る気がなくなるでしょう。

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Somnambulism II

次の作品はまた社会批判をテーマにしたものになるのでしょうか?

このテーマはまだ完成していないので、継続してつくっていきます。

Text: Emma Chi, Yu Xiaowen
Translation: Daiki Kojima

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