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チン↑ポム

PEOPLEText: Yuko Miyakoshi

現代アート界の革命児?

Chim↑Pom(チン↑ポム)は、2005年に6人で結成。活動当初よりカンボジアで高級バックや石膏像を地雷で爆破した「サンキューセレブプロジェクト アイムボカン」、広島市上空に「ピカッ」という文字を飛行機雲で描いた「ヒロシマの空をピカッとさせる」などの作品で注目を集めている。現代社会に介入した社会派作品で評価を得ており、国内外の展覧会に多く招待されている。第29回サンパウロ・ビエンナーレへの参加や、2010年に開催された「アジア・アート・アワード」で日本代表に選ばれるなど、海外からの注目度も高い。

Chim↑Pom(チンポム)
Chim↑Pom メンバー Photo: Hiroyuki Matsukage
前列右から時計回りに 卯城竜太、エリイ、林靖高、水野俊紀、稲岡求、岡田将孝

この度の展覧会「REAL TIMES」(リアルタイムス)では、渋谷駅に展示されている岡本太郎の「明日の神話」に福島第一原発を思わせる絵が付け加えられていたというパフォーマンスの当事者であったことが公表され、実際に設置された絵の原画を含めた展示が行われた。今回はリーダーの卯城竜太氏、岡田将孝氏の二人からお話を伺った

今回の展覧会の作品についてご紹介いただけますか?

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「Never give up!」(2011) © Chim↑Pom
Photo: Kei Miyajima Courtesy of Mujin-to Production, Tokyo

卯城:広島での製作以来親交がある被爆者団体の代表の坪井直さんという方がいます。今回の震災や原発事故で街が壊滅したり、放射能の脅威を感じたことから、今ヒロシマに立ち返ることの重要性を感じました。「ネバーギブアップ」は坪井さんが自身の執筆やトークなどで50年以上言い続けてきた座右の銘、というかメッセージです。3回もの危篤を乗り越えてきた自分へのネバーギブアップもあるだろうし、核兵器廃絶を目標としたネバーギブアップや、広島の復興への思いなど、色々な意味で坪井さんの言うネバーギブアップは今重要な言葉だなと。それで、ファックスでその言葉を送っていただき、そのファックス用紙を福島県の相馬市で廃棄された額に入れて展示しました。

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「日本犬」(2011) © Chim↑Pom
Photo: Kei Miyajima Courtesy of Mujin-to Production, Tokyo

卯城:「日本犬」という作品は、震災直後にメンバーの水野君と稲岡君が相馬市を訪れた時に撮影した犬の写真です。物資を届けながら被災地へ行ったのですが、その頃はまだ野良犬になってしまった飼い犬が沢山いました。壊滅した家の前で犬が喉を鳴らしていて、何だろうと思って目を合わせると、こっちを気にしながら歩き出したそうです。で、たまに振り返ってはまた目を合わせる、また歩き出す、そんな感じだから何か呼ばれてるように思ってついていくと、壊滅した家の中の布団の上に足をケガした別の犬がいたそうです。その時の2匹の犬の写真です。

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「日本犬」(2011) © Chim↑Pom
Photo: Kei Miyajima Courtesy of Mujin-to Production, Tokyo

卯城:その犬の写真を、宮城県名取市で廃棄されていた額に入れています。そして、犬と同じシリーズなのですが、津波で流された牛の死骸と、ぽつんとたたずんでいる猫の写真を同じように額に入れて展示しています。

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「被曝花~ハーモニー~」(2011) © Chim↑Pom
Photo: Kei Miyajima Courtesy of Mujin-to Production, Tokyo

卯城:「被曝花~ハーモニー~」は、フラワーアーティストの柿崎順一さんとのコラボレーションです。僕たちが福島県の原発から30kmぐらいのところで、ガイガーカウンターで計りながら除染して採取した花や植物を、生け花にしてもらった作品です。今はまだシリアスな状況ですが、こういう時こそ「美しさ」が必要だと思いました。特に生命の美しさにこだわったので、美の象徴である花を選びました。植物は逃げることができません。環境がどうなろうと運命を全うするしかないものです。でも花の美しさは変わらない。自ら撒いた種に右往左往する人間との対照的な生き方を、生で感じるための作品です。

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「気合い100連発」(2011) © Chim↑Pom

卯城:「気合い100連発」は、福島県の相馬市で仲良くなった若者たちのグループと気合いを100連発入れるという映像作品。相馬市は原発も近いこともあり、他の被災地に比べてボランティアがあまり来ませんでした。なので彼らは被災者だけど復興や救援も自らの手で行っています。その悲しみと明るさが混じった状況でのノリノリな気合いです。「復興頑張ろう!」から「彼女欲しい!」まで、何でもありのアドリブでやりました。

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