震災チャリティー ドローイング展「HELP!」

HAPPENINGText: Kana Sunayama

2011年3月11日に起きた大地震を皮切りに、日本はそれまでの極東の小さくてエキゾチックで、伝統とテクノロジーの共生する国などとは別の視点で、世界の注目を集めることになった。最初の地震のニュースを聞いて、多くの日本人が『いつもの地震。対策は万全。大丈夫。』と思ったのが実情ではないだろうか。そのあとに続く津波、余震、原発事故、放射能汚染、そしてそれらの災害から引き起こる電力不足、水や食べ物への影響、計り知ることのできない不安を誰が想像していただろうか。

この大震災に関して、世界各国でそれぞれの注目点や情報量、やり方を異にしながらも、様々なメディアが様々な情報を流し、インターネットというツールによってもまた多種多様な情報を各々が目に耳にしている。被害規模や原発問題などもさることながら、欧米の注目をより集めたのはやはり、世界第三位のGNPを誇る先進国である日本がこのような大災害に見舞われたという点であり、彼らにとって発展途上国への災害よりもより現実味をおびていたからであるともいえる。

そのような状況のなか、多くの海外在住日本人たちが 遠く離れたそれぞれの土地で、 抗うことのできない自然の大きな力の前で必死に生き延びようとする母国を想い、少しでも自分たちには何かできないのか、と自問自答する。ここパリでも、コンサート、舞台公演、展示即売会、バザー、など多くのチャリティーイベントが開催されている。

震災チャリティー ドローイング展「Help!」

Help ! for Future of Japan」は 、4月14日から21日までの一週間 パリのエッフェル塔近く、15区にあるギャラリー、プルミエール・ルガードで開催されたドローイング展。フランス人アーティスト、ジャン=リュック・ヴィルムート、パリ在住日本人アーティスト西村麻美、パリ在住インディペンデント・キュレーター、砂山奏の三人が、 世界で活躍するコンテンポラリーアートの作家たちに声をかけ、作品提供を募った。

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今年初めに東京にオープンしたばかりのアートスペース、エスパス ルイ・ヴィトン東京のこけら落とし展作家に選ばれたグザヴィエ・ヴェイヤン、2008年に森美術館で個展を行ったアネット・メサジェ、瀬戸内海に浮かぶ豊島に美術館のあるクリスチャン・ボルタンスキーなどを筆頭に、60名のアーティストが参加を表明した。

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日本人作家では、空耳アワーでもおなじみのイラストレーター・安斎肇小岐須雅之、漫画家の朝倉世界一、具体派美術家・松谷武判、現代美術家の川俣正黒田潔、黒田アキ、mississippi西村麻美の計9名が参加。

また、3月11日は東京の森美術館にて「フレンチ・ウィンドウ展:デュシャン賞にみるフランス現代美術の最前線」の搬入中であったので、その揺れを実際に感じ恐怖を味わったので是非何かさせてほしいという、2004年のマルセルデュシャン賞獲得作家キャロル・ベンザケン、他にもクロード・クロスキー、フェリチェ・ヴァリーニドミニク=ゴンザレス・フェルステルクロード・レベック、フィリップ・コニエ、カミーユ・アンロなどのマルセル・デュシャン賞へのノミネート経験のある、作家達も作品提供を快く承諾した。

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このチャリティー展のために収集された紙を媒体とする作品は50ユーロのものからから15000ユーロのものまで100点を越え、作品の売り上げにより52300ユーロ(625万円相当)、特別に設置された募金箱での回収が411,76ユーロ(4万9千円相当)、合計52711,76ユーロ(629万円相当)が集められた。すべての売り上げは在フランス日本大使館の東日本大震災のために開設された特別口座に振り込まれ、日本赤十字社へ送られる。

フランスの現代アート界を中心に数々のボランティアの協力により開かれたこのチャリティー展は、震災以降、世界のどこかで毎日のように開かれるチャリティーイベントのひとつでしかない。しかしそれぞれの場所で各々の持つネットワークやスキルを活用し、今日の日本、明日の日本のために何ができるのか、またそれは世界とどうつながっていけるのか、明日の世界のために一人一人ができることとは何か、そのような問いを持つことこそが、現時点で1万5千人以上の死者を出し、いまだに8000人以上もの行方不明者がいる、この大震災で私たちが学ぶべきことではないか、と筆者は思う。

Help ! for Future of Japan
会期:2011年4月14日〜21日
会場:Galerie Premier Regard
住所:Premier Regard 10, Rue Humbolt 75015 Paris M° DUPLEIX
TEL:33 (0)1 4571 0789
http://www.premierregard.com

Text: Kana Sunayama
Photos: Koji Hirano

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