THE PHOTO / BOOKS HUB TOKYO 2011

HAPPENINGText: Yuko Miyakoshi

写真集とプリントの新しいフェア、「THE PHOTO / BOOKS HUB TOKYO 2011」は特別な契機に開催されることになった。3月11日に東日本大震災が起き、その22日後の開催となったからだ。震災直後、テレビやインターネットには様々な情報が飛び交った。数日後には東京在住の写真家による町の様子がウェブにアップされた。アスファルトに落ちたガラス、道に溢れた人々、速報を伝えるニュースのテレビ画面、揺れるビルを見上げる人々 ── 。目に、驚きとも恐怖ともつかない表情が浮かべた人々。あの日、多くの人が現実を受け入れられずにいた。そしてあの日から写真家は「写真に何ができるのだろう」ということを改めて問い直すことになった。

THE PHOTO / BOOKS HUB TOKYO 2011
Photo: Naoko Iida

今回のフェアのディレクターである後藤繁雄氏は、開催時のステートメントで『痛みを感じながらこういう会を持つこととなった』と語った。予定されていた数々のアートフェアが中止になる中、複雑な思いもありながら開催に踏み切ったのは消費を促し、力、そして集客を結束させることによって少しでも写真を含めた芸術文化はもとより復興の手助けになりたい、という願いがあってのことだった。ちょうどこの頃、東京では様々な場所でチャリティーイベントが立ち上がりはじめていた。当日、表参道ヒルズの地下スペースには、プリントを展示したパネルと22の団体がアートブックを紹介するテーブルを並べ、集まった人々ので熱気で満ちていた。会期中に集められた自由料金制の入場料の半分は義援金として日本赤十字社と、東北の地で開催される塩竈フォトフェスティバルへ送られる。

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左から 赤石隆明、細倉真弓、田中和人、湯浅亨 作品

入口を飾ったのは2011年2月に開催された「TOKYO FRONTLINE PHOTO AWARD by amana group」の受賞作。「コンテンポラリーアートとしての写真」をテーマに写真家の篠山紀信、ホンマタカシなどの審査員によって選出された。

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細倉真弓「Volcano Lover」

細倉真弓の目は、きわめてドライな質感の中で私たちが目にしている世界の表層をはぎ、本質の部分をあらわにする。森の中を切り取った一枚には、ワイルドな感性を奮起させられたアーティストの力強さが感じられた。

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