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「アップクローズ」展:キャロル・ジェレムス、ナン・ゴールディン、ラリー・クラーク、ウィリアム・ヤン

HAPPENINGText: Joanna Kawecki

オーストラリア人フォトグラファー、キャロル・ジェレムスの個展が開催されている。1949年から80年の全生涯の作品のうち、70年代の作品の、シドニーとビクトリアの若者やサブカルチャーを撮影した作品を中心とした構成だ。

キャロル・ジェレムス アップクローズ展
Carol Jerrems. Vale Street, 1975. National Gallery of Australia, Canberra Gift of the Philip Morris Arts Grant, 1982. © Ken Jerrems & the Estate of Lance Jerrems

この展示会では、プラーン・テクニカル・カレッジで教鞭をふるった彼女の、生徒の作品や、彼女が初監督をした短編映画「ハンギング・アバウト」、さらには彼女の代表作である、メルボルン出身モデルのカトリオーナ・ブラウンと二人の若者を撮影した「ベイル・ストリート1975」に触れることができる。

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Larry Clark. Untitled, 1979. National Gallery of Australia, Canberra Purchased, 1980. © Larry Clark. Image courtesy of the artist and Luhring Augustine, New York

彼女の作品は、社会の弱者に注目したものが多い。今回の展示会では、彼女のように社会から取り残された若者を撮影した、ニューヨークで活躍したナン・ゴールディンやラリー・クラーク、シドニーからは、ウィリアム・ヤンの写真も紹介されている

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Stephen McNeilly. Carol Jerrems, Daylesford, Victoria, 1973. Private collection. Photograph: John Gollings

ウィリアム・ヤンのシドニーのゲイ写真は、彼の思いが率直に伝わってくる強いものだ。また、クラークは、スケートボードや、サーフィン、パンク・ロックなど、若者のサブカルチャーを通して、違法ドラッグ、未成年のセックス、暴力のイメージを伝えている。

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Robert Ashton. Carol Jerrems, Prahran, 1970. Private collection © Robert Ashton. Photograph: John Gollings

ナン・ゴールディンの「バラード・オブ・セクシャル・ディペンダンシー」は、1979年にフランク・ザッパの誕生パーティで発表され、物議を醸した。社会主義と疲労感が漂うニューヨークの、バワリー通りの市民に密着した作品だ。

キュレーターのナタリー・キングの見せ方が素晴らしい。各写真家のテーマをそれぞれに探求する形ではなく、私たちの心に詩的な印象を残してくれる。

Up Close | Carol Jerrems with Larry Clark, Nan Goldin and William Yang
会期:2010年7月31日〜10月31日
開館時間:10:00〜17:00(月曜休館)
会場:Heide III | Central Galleries, Heide Museum of Modern Art
住所:7 Templestowe Road, Bulleen, Victoria 3105, Australia
https://www.heide.com.au

Text: Joanna Kawecki
Translation: Chihiro Miyazaki

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