ディストーション 2010

HAPPENINGText: Victor Moreno, Erik Westeman

コペンハーゲンはまさに独特の混沌とした雰囲気に包まれている。夜になるとあちこちでバーやクラブが営業しており、この街の中央ヨーロッパならではの自由奔放な様子のために北欧らしさも幾分薄れている。
6月初旬の日も長く温かさも増してきた頃、コペンハーゲンの住民は路上で行われる盛大なお祭りに繰り出し始めた。

コペンハーゲンで開催される「ディストーション」はまさに”夜遊びの祭典”。このイベントでは地元のミュージシャンたちが一斉に演奏を繰り広げる。最近では過去に5万人もの人々が路上や会場に繰り出して、主催者もこれにはご満悦の様子である。

Distortion 2010

フェスティバルは5日間、それぞれ5つの地区に分かれて開催される。街の中心街、ノアブロ、ヴェスターブロ、そしてビール醸造会社カールスバーグの昔からある本社建物に建てられたテントがその舞台となる。日中は全てのイベントが路上で行われ、あちこちでパーティが繰り広げられている。路上が舞台、そしてダンスフロアとなりコペンハーゲンのパーティを形作っている。主催者はディストーションの特徴について次のように話してくれた。『ロンドンのノッティングヒル・カーニバルやバルセロナのソナーのようなイベントと似た部分があると思う。ただこれらのように大勢のラスタファリアンやレコード会社の人間がいないってだけだよ。このフェスティバル全体をパーセントで表すなら、ただ楽しみや自由を祝おうという部分が51%で、残りの49%はビジネスとしてのパーティでは最高のものが楽しめるということろかな。』

そして始まりから早10年。『2000年から活動してるけど、最初はコペンハーゲンのパーティおたくたちのために小規模で、ただ楽しみのためにやってたんだ。2003年から2007年の間に世界中のイベントからかなり多くの秘訣なんかを学んだね。で、結局自分たちは成長しないままに規模がどんどん大きくなっていったんだ。2008年には本物の真面目なフェスティバルっぽくしようってことで予算も付けたし、事務所もおんぼろのリムジンも用意してさ』

1_1_WhoMadeWho2.jpg

1日目、中心街:「フー・メイド・フー(WhoMadeWho)」そしてあなたは誰?

イベントの始まりは夜、地元のバンド「フー・メイド・フー」の演奏そして「シミアン・モバイル・ディスコ」名義のジェイムズ・フォードによるDJで幕を開けた。フー・メイド・フーのライブはとても素晴らしいものだった。彼らの曲は生で聴くほうがより迫力がある。トーマス・ヘフディング(ベース/ボーカル)、イエッペ・シェルベリ(ギター/ボーカル)、そしてトーマス・バーフォード(ドラムス)の3人組がドイツのレーベル「ゴンマ」よりヒットしたアルバム「サティスファクション」を出してから約10年。現在、彼らは2011年1月に発表予定の新アルバムの製作中である。それに先立ち、シングル曲「キープ・ミー・イン・マイ・プレイン」を披露してくれた。この曲は既にロサンゼルス映画祭で最優秀音楽ビデオ賞、最優秀曲賞、最優秀演出デザイン賞、最優秀衣装デザイン賞を獲得している。

1_WhoMadeWho1.jpg

その後はジェイムズ・フォードのDJプレイが続いた。彼はこれまでにプロデューサーとしても「アークティック・モンキーズ」、「クラクソンズ」、さらに最近では「フローレンス・アンド・ザ・マシーン」を手掛けている。会場で彼と話すことができ、クラクソンズの新しいアルバムのレコーディングがやっと終わったばかりだと教えてくれた。だが今回のプロデューサーとしての仕事は彼自身の言葉によれば、まさに悪夢のようになってしまった、とのことだった。しかし一方ではアークティック・モンキーズのボーカル、アレックス・ターナーと一緒にスタジオで自主制作映画のサウンドトラックを録る予定だということでとても楽しみにしている様子だった。

2_BlockParty2.jpg

2日目、ノアブロ:大丈夫、マッドリブがついてるから

フェスティバル期間中はずっと晴天。コペンハーゲンの街も人で溢れていた。会場は湖のすぐそばのノアブロ地区の中。可動橋であるクネベルスブローで行われていたパーティでは、運河にかかる橋の一本が上がる2分間その場にいた皆が大興奮だった。これは、イベントの恒例行事となっているようだ。

2_Bridge.jpg

歩道のあちこちで様々なバンドやDJたちが演奏し、パーティが行われている。そして夜の予行練習と言わんばかりに、ヒップホップ界の重鎮「マッドリブ」や「J・ロック」、「コード・ナイン」、「J-ワウ+カラフ」によるライブが行われた。マッドリブはビートとゆるぎないグルーヴを抽象的な形で具現化して90年代後半から2000年代中頃までの世代を象徴している。そしてその新たな形がヒュージョンへと発展していくのだ。彼の最新アルバム「マイルス・アウェイ」はバンド「イエスタデイズ・ニュー・クインテット」による管弦楽も取り入れている。

3_FakeDiamond.jpg

3日目、最後のパーティ:さらに盛り上がれ!

金曜の夜を過ぎると、パーティはさらに加速していった。ここからイベントはかつてカールスバーグのビール醸造所だった地区へと場所を移し、さながら音と踊りで溢れる遊園地の様相を呈していた。実はこの場所は現在、街でも人気となっており近々コペンハーゲンの美術館が開館予定となっている。貯蔵用のサイロや暗い建物が、工業地域の風合いを醸し出している。

その夜は、もっとゆったりと落ち着いた形で始まってほしかった、そんな時登場したアーティストたちは、ちょうどその気分に最高の組み合わせだった。コペンハーゲンの次世代の大物と言われるストリートウェアブランド「ソウルランド」がコペンハーゲンのレコードレーベル「フェイク・ダイヤモンド」のパーティの隣で展示販売を行っていた。まさにぴったりじゃないだろうか。ビールにソーセージ、カクテルのモヒートを飲めば、その夜カールスバーグの工場を支配していたあまりに多くのアーティストたちに耳を傾けるための十分な薬の役割になってくれた。でもその前に、街で最も話題となっている生肉工場地区へと立ち寄ってみた。そこではデンマーク人デザイナー「ヘンリック・ヴィブスコブ」と彼の友人たちが黄昏の中、DJをしていた。

4_CarlsbergFactory.jpg

前年は、「ホット・チップ」、「チックス・オン・スピード」、「スパンク・ロック」、「セバスチャン・テリエ」などのアーティストたちが会場を沸かせてくれた。今年は前述のフー・メイド・フー以外にもドイツのエレクトロハウス・デュオ「ブーカ・シェード」や期待の若手デンマーク人DJ達が人々を熱狂させた。さらに新進のデンマーク発レコードレーベル「タルトレット」にも期待が寄せられた。

Distortion 2010
会期:2010年6月2日〜6日
会場:コペンハーゲン市内
http://www.cphdistortion.dk

Text: Victor Moreno, Erik Westeman
Translation: Yuki Mine
Photos: Victor Moreno

【ボランティア/プロボノ募集】翻訳・編集ライターを募集中です。詳細はメールでお問い合わせください。
コントワー・デ・コトニエ公式通販サイト | 2016 SUMMER SALE
MoMA STORE