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チェン・ラン

PEOPLEText: Ralph Yuu

1981年、内モンゴル自治区生まれのチェン・ラン。2004年に中国美術学院油絵科を卒業。俳優として映画「バンブー・フォレスト」の制作に関わり、アーティスト、ヤン・フードンと5年間活動を共にした後、アーティストとして独立した。

2009年夏、北京のユーレンス現代美術センターは、有名アーティスト、ヤン・フードンによる若手アーティストたちの展覧会「サイレント・アンド・アウェイ・フロム」を開催しており、美術センターの職員をしていた私は、参加アーティストの一人であったチャンと知り合い親しくなった。チャンの作品は、そのほとんどが映像インスタレーションで表現されている。青春時代と生活の中にあるイメージの断片が彼の作品の主な構成要素だ。構想の流れがつくり出す影、視覚環境、そして命と時間の知覚の中で、私たちは少しずつ彼の解釈と思考を体験する。私と程然は年が少し離れているが同い年と言ってもいいくらいだ。私と彼は似たような記憶や経験を共有している。光と影の中に現れるそれらの映像は私の心の奥底にも存在するのだ。

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まず、最近の作品と展覧会について教えてください。

2010年の8月にモンゴルのウランバートルに行きます。ゴビ砂漠で制作を体験し、地元の素材を使ってアート作品をつくってもらうために、地元のオーガナイザーがアーティストたちを招聘するのです。これはとても興味深いプロジェクトです。私は映像装置を使ってこの展覧会の「最後の作品」を制作しようと考えていますが、そのメッセージは『国境への到達は観光の終わりを意味する』という、架空の国境に関連したものになります。私たちが展覧会を終えた後にはアートは残りません。ゴビ砂漠が発表の場であるならば、このメッセージはその場が発するものです。ゴビ砂漠のアート作品がアート最後のユートピアであるならば、そのメッセージはユートピアが失われる場所にあるのです。貧しさにも関わらず、街が理想的な空気感とエネルギー持つウランバートルが私は大好きです。

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若い世代のニューメディア・アーティストとして、現在のあなたの表現は主に映像インスタレーションに関連していますね。あなたが大学で学んだ油絵とは大きく違いますが、大学で学んだことは現在のあなたの創造と表現にどのように関連し影響しているのでしょうか?最終的な創造表現に映像インスタレーションを選んだのはなぜですか?

私はどのような素材や方法も否定はしません。ドローイングも映像も文章も単なる手段に過ぎないのです。上手くいかなかったことすら含め、様々な法則の特性を生かして作品を表現します。何年も前に撮影され、ぶれてぼやけたHi8の映像、音もなければ何の説明も書かれていない旅の記録、それにもかかわらず人々の息づかいや笑顔、そして風景があり、カメラのファインダーを覗き込んで、生き生きとした瞬間を捉えようとするカメラマン自身になったようにすら感じられる、そんな映像の断片に出会ったのです。その映像には真実があり、言葉や時間そして空間のことを考えさせてくれました。これこそまさに私が映像に求めていることなのです。少なくとも今はこのやり方で作品制作をしていくつもりでいます。

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