B.

PEOPLEText: Manami Okazaki

つまり、自分のコンセプトも似通ったものとして捉えている?

ある意味ではそう言えるんじゃないかな。 都会の陽のあたらないような場所であっても、メッセージを残すことによって、そこが馴染み深く感じられるようになって、自分の家のように思えてくる。そこに4時間も留まりながらペイントを施す。そういったグラフィティのある場所に彼女を連れてビールを飲みながら戯れている人たちも見かけるよ。そんな姿を見ながら、自分はそこに新しい雰囲気を添えているんだなと考えるよ。街の新しい側面を創っているんだなと。

i_1188781250166914.jpg

タギングを始めたきっかけは何でしたか?

なんだろう。以前はただ教科書に落書きをしていたんだけどね。

やっぱり!グラフィティアーティストはみんなそこから始まっていますね。教科書!

ハハ(笑)。机にも落書きをしていたよ。クラスメートの机も使って落書きをし続けて、それから学校の壁に描き始めたんだよね。初めて見て夢中になったグラフィティは95年のパラディンだった。

彼は伝説ですね。ギリシャでは誰も彼を知らなかったんだけど、80年代にやって来た彼の作品を見た時に思ったんだ。自分でも名前を探して書き残したいってね。だって、イメージとして湧くもののみをペイントしていたものだから、自分の名前ってものを持っていなかったんだ。これがペイントをしていたキッズから名前を持ってタグも選んだグラフィティアーティストへの流れかな。

プロとして活動を始めたきっかけは?

個人的な仕事としてのペイントを始めながら、ある時期にとても裕福な人の家もペイントするようになったんです。
街での自分の作品と比較しながら、とても贅沢で整った環境でグラフィティをするのにも楽しみを覚えたんだね。でも現在やっていることをプロフェッショナルなものとしてはあまり捉えていないんです。全てをプロジェクトとして考えています。お金にならないようなプロジェクトでも自分が気に入ったらやるから。

ex_1188781250171159.jpgex_1188781250171029.jpg

委託されたものとしてはどんな作品がありますか?

ベイビー・グランド・ホテルや、アートカフェ、生物医学機関などの室内をペイントしたことがあります。

e_1188781250182128.jpg
Everyday Stories, Hellenic-American Union, Athens 2007

ギャラリーはストリートアートへ興味を示していると思う?

ギャラリストは強い関心を持って、ストリートアーティストと一緒に仕事を始めていると言えますね。ストリートアートとグラフィティは人々のとても身近な存在として、何と言えばいいかな、人気?があるのかな。則ち、ギャラリーも無視できない存在となってきているんだろうね。

一般的なアーティストと異なる部分もあるから、ストリートアーティストにとっての困難もある。展示会を開く考えに反対はしないけれど、ストリートアーティストとしての表現をギャラリーでするのは難しいことで、自分なりの手段と方法を確立していないといけないね。ストリートアーティストの活動している環境とは全く異なるから。動物園にいる動物のようで、そこではしっくりと調和しないですね。

どのグラフィティアーティストを尊敬していますか?

この街にいるみんな。その壁やこの街と上手にマッチしている作品が好きで、例えば、窓を使って何か違うものに作り替えたりとか。その作品が街と対話しているものは大抵好きです。

どのくらいの頻度で街に出てペイントをするのですか?

今年は月に一度くらい。この3〜5年位は週に3、4回ペイントしていたよ。街に作品を残すことは容易いことではないからね。100回やって20作品くらい残るくらいかな。そのくらい難しいんだ。非常にね。生き残って、生き延びていかなくちゃならないんだから。

Text: Manami Okazaki
Translation: Yoshitaka Futakawa
Photos: Courtesy of the artist

【ボランティア募集】翻訳・編集ライターを募集中です。詳細はメールでお問い合わせください。
マリアンナ・ドブコウスカ
MoMA STORE