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中村天平

PEOPLEText: Christal Phillips

中流家庭に3人兄弟の末っ子として生まれた中村は、親しみを込めながら、学校の宿題に寛大で温かい心と自由意志の持ち主であると両親を語る。彼は18歳まで神戸近郊の丘陵地帯で育った。近所の川でカニを捕まえる傍ら蝉や昆虫の採集に夢中になった思い出を懐かしむ。『I love it!』『自然の中で自然と戯れるのが大好きなんです。』と話す中村のこの自然への愛はカメラマンとして自然界の美を捉える彼の鋭敏な目をも育んだのだろう。彼の写真はファーストアルバムのプロモーション向けのパンフレットで目にすることが出来る。それから中村はアルバム「TEMPEIZM」にまつわるエピソードを話してくれた。「Echoes of Summer」というタイトルのついた5つの楽章から成る組曲。この曲は友達と沢を泳ぎ、山を走り回った思い出から着想したという。「眩しく光り輝いていた日差し。』彼は続ける。『セミの鳴き声の中に粛々と立つ人影のない神社の様が今でも記憶に深く刻まれているんです。』「TEMPEIZM」には彼の処女作になる「Etude C-Moll」というリムスキー・コルサコフの「Flight of the Bumblebee」に引けを取らない難易度が高くテンポの速い技術を必要とするピアノ作品も収められている。『この曲は自分の演奏技術に磨きをかけるために作ったものです。』半音階を散りばめられた曲を中村はそう説明する。『エチュードは一定の技術的な難しさがあって初めて練習曲としての意味があると考えているんです。だから、最終的にこの形となるまで数えきれないほどの編曲を繰り返しました。』その音楽は恵まれた才能の賜物以外何ものでもなく、譜面ではなく彼の頭に「作曲」されている事実によって強く認識させられるのである。

6歳の時にピアノと出会い12歳まで弾き続けていた。『特別熱心であったわけではなく、だいたい週に30分くらい気軽に趣味としてやってました。』幼少時代のきっちりとした訓練を経ずにこれほどの才能を開花させたことがどれほど稀なことかを気にも留めずに平然と話す。彼の少年時代は幾らか侘しく寂しいものであった。音楽を練習することをやめ、16歳の時には学校から退学処分を受けた。家を出て大阪に向かい、建築現場で働くようになった。将来ついて考えながら音楽への情熱を再確認したときに生活は大きく好転し始める。大阪芸術大学ではプログレッシブロックを学び、英国のロックグループであるエマーソン・レイク&パーマーの影響を受ける傍らバンドの作曲や編曲に携わっていた。2年目には、彼の人生観を大きく変えることとなるハンガリー人のピアニスト、ジョルジュ・シフラの音楽と出会うことで、ソロピアニストを志し、また自らをアーティストと呼ぶことからは一線を画しながらも、その情熱を従来のクラシックやジャズ音楽に挑戦することに傾ける決意固める。後に東芝EMIに送りアルバムに収録されるこの楽曲。「Fantasy」ようなトラックは彼が音楽に関する既存の型や形式に囚われたくない意思の現れである。『この楽曲は、不規則なタイミングに加えて確立された完全なオリジナルスタイルでどんな特定なジャンルにも分類されることができない。』

古典的なクラシック手法を授けてもらう熟練したピアニストを求めて、中村は前年にアムステルダム街と105丁目にニューヨーク・ピアノ・アカデミーを設立したばかりのイエディディア博士に2006年に出会う。きっかけは日本で購入した氏のアルバムから受けた演奏技術の高さに心動かされ、ニューヨークを訪れて彼の下で学ぶことに決めたのだ。 『1年余りの間共に過ごしたが、彼は既にアーティストとして完成していたからそれほど教えることはなかったよ。』イエディディア氏はそう話す。『音楽の全てが頭の中に入っているなんて感心するね。彼は全く譜面に落とさないのだから。』1つの課題として、氏は他の人々が彼の音楽を演奏する機会がないことを上げる。これまで音楽理論や正規の作曲法を修めてこなかったが、音楽大学でさらに正規の訓練を受けたいという希望はなかった。レコード契約や大阪芸術大学での経験を携えて、ジュリアード学院やマンハッタン音楽院に入学することも可能であっただろうが、そういった自宅で練習する以上に価値のある利益には背を向けた道を選んだ。『自分はクラシックではないし、ジャズでもない。』と話す中村は分類分けをされたり1つのジャンルの音楽との結び付けられることを嫌う。『ただのピアニストです。』彼特有な決して一般的でない音楽の経歴を自身の強い個性として捉えてきた。恋愛的なバラードを含んだこの好青年は日本で多くの異性を惹き付けMTV世代を対象としたTVやラジオの音楽番組にも出演してきた。ある若い女性ファンは彼の繊細さに温もりを覚え、情熱を持って音楽に専心する姿が魅力的だと話す。『彼の人間らしい一面がとても素敵。』と続ける彼女。『天平さんは人々をリラックスさせて平穏な気持ちにさせるある種の才能があるんじゃないかしら。』中村がこの音楽業界で著名な音楽家らと友人関係を築いていくことを可能にしているこの性格は、きっと今後国際的ピアニストとして活躍していく手助けとなるに違いない。

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