ジェレミー・ホリスター「ピースキーピング」展

HAPPENINGText: Michael Foronda

カルチャーの飽和状態にあるメディアにおいて、サウンド、イメージ、テクノロジー、ファッションなどのシーンの崩壊を誘発している自分達の周りで、今まさに事件が起こっているのを見逃してはいけない。今月のインフォワールド・ニューヨークは、そんな出来事を発見するのにうってつけである。家具デザイン、DJ/プロジェクション/パフォーマンス、そして屋上パーティーに至るまで実に多くの分野に渡って活動しつつ、ニューヨークのセレクトショップ兼ギャラリースペースの「ザッカ」で、現在ディスプレイを行っているジェレミー・ホリスターの「ピースキーピング展」について紹介する。

ガスブックへの作品寄稿や、マンハッタン・トランスファーといった彼の作品でSHIFTにも登場しているホリスターの最新作品は「ピースキーピング」。放送や動画分野でのデザイナーとして広く知られる彼が、兵士・戦車隊・銃といった戦争から着想を得て制作する一連の静止イメージに焦点を当てよう。それぞれのイメージをつくり出す際の根本的な要素としての平和的シンボルの使われ方は、皮肉、あるいはむしろ巧妙な嘘ともいえる。 有名な「M/M」のようにシンボルやイメージで説明付けられる多くのアスキーアートと違って、力と破壊を具現化するための平和的シンボルといったような政治的要素を匂わせる。

これらのイメージの深い考察は、カラーパレット(迷彩のグリーンの)から取り出され、展示される場で与えられる(ここではプレクシグラスの上に塗られた透明色で、航空機のケーブルにぶら下がっている。)この悪趣味と脆さのバランスは、広告だろうがニュースだろうがメディアの通ってきた道へと向かう。ベネトンの広告はCNNの報道範囲と同じくらい政治的に構成されている。戦争による主要な効果を認める最近のサンデータイムズを見ても『ブッシュ氏はスターウォーズをレビューページで再び奨める事によって一般的なサンデータイムズの性格をカモフラージュしたがっている。』だそうだ。

「ピースキーピング」は “その瞬間” によって定義付けられる。筆者は残念ながら、このプロジェクションに立ち会ってはいない。したがって、この作品に対する私の見解がずれているという事も大いにあり得る。政治的な動機付けやメッセージなど発信されていないのかもしれない。実際、ザッカのオーナーによるとこれらの作品を印刷したTシャツが発売されるそうだ。しかしながら、少なくともこれらのイメージは、個として僕に語りかけ、僕の意識レベルを引き上げてくれる。

Jeremy Hollister: Peacekeeping
会期:2001年5月11日(金)〜6月10日(日)
会場:Zakka
住所:147 Grand Street, New York, NY
TEL:+1 212 431 3961
https://www.jeremyhollister.com

Text: Michael Foronda
Translation: Naoko Ikeno

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