WASARA

THINGSText: Mariko Takei

環境問題の意識が広がりつつある最近では敬遠されがちな、一度きりしか使うことのできない紙皿や紙コップ。だけど、味気ないプラスチックのお皿に盛りつけたら、おいしい料理のその味も数段落ちてしまうかのように感じる。美しい器に盛りつけた料理を更に美味しく頂くという、おもてなしのアイディアは、日本の伝統や感性として古来から伝わってきたもの。そんなアイディアから生まれた「WASARA」は、おもてなしの心が生きる、それでいてちゃんと環境にやさしい紙の器なのだ。

WASARA

「WASARA」は廃棄されるサトウキビの搾りカスや、枯渇する心配のない葦など非木材を原料にした紙の器シリーズ。このWASARAの母体となるパッケージ会社が創業100年を迎えるにあたり、新しい試みとして開発、提案したものだ。これまでに数多くのパーティーをディレクションし、その課程で使用される膨大な食器の量を目の当たりにしてきた「WASARA」のプロデューサーが、もっと効率が良く使用できて、しかも和食を素敵にアレンジするような食器を探してきたという。その結果生まれたのが、その2つの要素を兼ね備えた、『お寿司を盛りつけて素敵に見える、シンプルでモダンなデザインであること』をコンセプトとした「WASARA」である。
今回「WASARA」シリーズの中から数点の器を紹介、更にWASARAの特徴や使用素材について、また今後の予定などWASARAが取り組んでいるエコロジカルな活動を探ってみた。

WASARAの器を数点ご紹介ください。

WASARA

ワインカップ
紙の器であるWASARAの中でも、一番実現させたかったアイテムの一つです。紙コップでワインを飲む姿が様になり、かつワインを美味しく飲めるものとして構築したデザインです。既存の使い捨てコップでは味気なくなってしまうワインを、口当たりや手触りなど、ワインを愉しむための要素を紙の器であっても持っていたいという精神のもとに構築されました。

WASARA

コーヒーカップ
カーブの部分を持ち手にすれば、コーヒーカップとなり、反対側を持てば片口として、ソースやドレッシングなどを入れていただくこともできます。従来の紙カップではなし得なかった機能的な造形美としてWASARAの哲学を反映させた商品のひとつです。

WASARA

角皿・丸皿
紙の器を使うシーンは、食卓に向って着席している食事はほぼありません。立食やその紙皿を持ったまま歩き回る、というシーンで活躍するための器です。そのシーンを想定すると、無理なく手にフィットしてすっとなじむフォルムを追及しました。角皿と丸皿の波打つ形は、そのためのデザインです。器を手に持って食事をするという、日本人固有の食文化ゆえに発想される造形だといえると思います。

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