ディアゴナーレ 2009

HAPPENINGText: Daniel Kalt

Diagonale 2009
Loos Ornamental – Heinz Emigholz © Amour Fou / KGP

輝かしい成功を収めたアーウィン・ワーゲンホッファーのドキュメンタリー「We Feed the World(私たちが世界を養う)」(2005)や、彼の近年の作品「レッツ・メイク・マネー」(2008)、そしてアカデミー賞ノミネート作品、フーベルト・ザウパー監督の「ダーウィンの悪夢」(2005)によって、オーストリアはドキュメンタリーの分野において確実に熱狂的なファンを獲得している。ディアゴナーレのドキュメンタリー部門ではこうした状況に敬意を表し、様々なアプローチの作品が上映される。ハインツ・エミグホルツ監督作品「Loos Ornamental(ロースの装飾)」は、オーストリアの有名建築家、アドルフ・ロースの人生と仕事を、言葉で語ることなくイメージだけで描くという、熱心な映画ファンにとっては挑戦的な作品。ミハエル・シンデッガー監督作品「ダチア・エクスプレス」は非常に独特の作品で、ブカレストからウィーンへと向かう列車に乗り込み、乗客に語らせるもの。

Diagonale 2009
Oceanul Mare – Katharina Copony © Katharina Copony

キャサリーナ・コポニーのドキュメンタリー「Oceanul Mare(海)」は同じブカレストを舞台にしながら全く異なる作品で、ルーマニアの首都に暮らす外国人の立ち位置を外国人の視点から探るものである。コポニー監督は中国人移民のグループと行動を共にし、EU中最も新しい加盟国のひとつであるルーマニアに溶け込もうとする彼らのプロセスを描く。

Diagonale 2009
Interrogation Room – Dariusz Kowalski © Dariusz Kowalski

ディアゴナーレの期間中には、毎年数々のイベントがグラーツの街を賑わす。この街で最も重要な美術館であるクンストハウス・グラーツは、映画祭の予告編の監督も務めたダリウス・コワルスキーの作品「Interrogation Room(取調室)」を上映する(3月6日から4月26日まで)。企画展「コンセプトフィルム(I)」はメディエンテルム美術協会が開催する展示シリーズの第一部で、映画と現代美術の関係を探求するアーティスト、ドリト・マグレイターと、ウルスラ・メイヤーの作品を展示する。

あなたがもしこのオーストリアの小さな街、グラーツを訪れたいと思ったならば、映画祭開催中以上に素敵なチャンスはない。この街は、この国の映画の首都に様変わりするのだから。

Diagonale 2009
会期:2009年3月17日〜22日
会場:オーストリア、グラーツ
https://www.diagonale.at

Text: Daniel Kalt
Translation: Shiori Saito
Photos: Courtesy of the directors and film companys and Diagonale 2009

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