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第3回 ピクトプラズマ・カンファレンス

HAPPENINGText: Ayako Yamamoto

第3回ピクトプラズマ・カンファレンス

写真は同じくアーティストプレゼンテーションからフェイヤズ・ジャフリ

このカンファレンスの魅力のひとつは、アーティストだけではなく、ロボット学、民族学、メディア理論、美術史などのバックグラウンドを持つ人たちによるフィールドをこえたシンポジウムであろう。10人の研究者たちが3日にわかれ、「Close encounters character perception」「Schaping global media character creation」「Rituals & masquerades get into character」のテーマで行われた。

1日目の「Close encounters character perception」では、それぞれが持ち時間30分で発表、その後ディスカッションの場が設けられた。1組目は、ポツダム大学メディア・シアターの教授ステファニー・ディエクマンとコンピューターゲームのインタラクティブ性の調査をしているミカエル・リエベによる「黒いドット。コミック、アニメ、コンピューターゲームのミニマルなキャラクター(Little Black Dots. Minimal Characters in Comics, Anime, and Computer Games)」。カナダのロングショットコミックスのひとつ、黒いドットの家族だけが登場し、会話を通してそれぞれのドットがキャラクターを持つというものを紹介し、黒いドット「ゼロ・ポイント」のミニマルなキャラクターデザインの流れを、映画「千と千尋の神隠し(宮崎駿監督)」の煤がモチーフのキャラクターなどを引用し、説明していった。

ムーミンの「ニョロニョロ」、もののけ姫にでてくる森の精霊「こだま」から、となりのトトロの「まっくろくろすけ」、そして千と千尋の神隠しの「ススワタリ」。似たような姿形をしたものが多数集まることでひとつのキャラクターを形成しているこれらから、ほとんど同じような黒いドットが会話を通して、それぞれのキャラクターを形成する、まさにインターネット時代の見知らぬ人々が点と点でつながっている様子を思い浮かべた。そして、視覚的にインパクトを持ち、他のものとの差異が絶対条件であるキャラクターのイベントに、一見、キャラクターの最終形態とも言い得るようなひとつひとつが独立したキャラクターを持つ黒いドットをテーマにした発表が行われたことに、このカンファレンスの心意気を感じた。

二人目の村上隆のスーパーフラット、そしてアンドロイドの話しと続き、ディスカッションが終わると、いよいよピクトピア展覧会のオープニングの時間となった。

第3回ピクトプラズマ・カンファレンス

会場は「Remix and Animism」「Paradox of Corporeality」「Get into Character」の3コーナーにわけられ、平日にも関わらず、入場制限をするほどの来場者で賑わった

第3回ピクトプラズマ・カンファレンス

「Remix and Animism」のコーナーにあったアーロン・ステュワートの作品「スライドショー」。既存のいわゆる「かわいい」キャラクターをリミックスする、もしくは「かわいい」姿のわかりやすいキャラクターを用いる際、暴力や性など、そのイメージとは正反対の行為をさせた描写をする作品が多い中、微笑ましい写真にぴったりのキャラクターをあてはめた数々が映し出されるたびに、観客も自然と顔をほころばせながら見入っていた。

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