HIGH5 2

HAPPENINGText: Wakana Kawahito

HIGH5とはクリエイティブポータルサイト「HITSPAPER」がオーガナイズするデザインカンファレンス。2007年に始まり、今年で2回目の「HIGH5 2」が、11月24日に横浜の大さん橋ホールにて行われた。
今回のテーマは「Black Box」。短期間で早く結果を出すことを求められる現代社会に対し、物事を長いスパンで捉え、その過程を大切にして欲しいという意味が込められている。

HIGH5 2

スピーカーはそのテーマにふさわしい、物作りのプロセスを大切にしている6組のクリエーター達だ。大さん橋ホールの広い会場の真ん中にステージがあり、その左右に2つの大きなスクリーンが設置され、そこに作品を映しながらトークが行われた。会場はおよそ500人の観客たちでにぎわっており、デザイナーとおぼしき人たちが熱心にメモを取る姿が見られた。

HIGH5 2

最初のスピーカーは、Mr.Children「HOME」、一青窈「つないで手」、コブクロ「蕾」のPV・ミュージックビデオなどを手がける映像作家として知られている丹下紘希さん。元々は映画監督になりたかったそうだが、なかなか食べていくのが難しく、ちょうど90年代初頭にミュージックビデオが盛んになってきて、ミュージックビデオが芸術と商業の中間に位置していて可能性があると感じたので始めたそう。
丹下さんの作品に多くの人が登場するのは、「集団という現象に興味を持っている」から。一人では味わえない集団での無意識的なもの、統一美、また、多くの人がいるのにも関わらず孤独を感じるという都会的なものへの感心が、彼のフィルターにかかると、ちょっとシュールで不思議な世界となって現れてくるのが面白い。
『イラク戦争が起こった時、自分なりの形で反戦のメッセージを伝えたかったので、ノーギャラでもいいから枠をもらって表現をしたかった。』
そこで最終的には、スペースシャワーTVの協力のもと、個人広告のような映像を作ったという話がとても印象に残っている。誰でもできることではない。
『あの人は何屋さんかわからないけれども、面白いことやっているよね、というように呼ばれたい』と、丹下さん。『映像以外のグラフックなどの仕事を始めてから、楽になった』と映像のプロに仰られると、丹下紘希というクリエーターはどこへ向かっていくんだろうという期待でいっぱいになる。すっかり丹下ワールドに引き込まれてしまった。

HIGH5 2

Namは、2006年にグラフィックデザイナーの中沢貴之さんがフォトグラファーの間仲宇さんに、ポートレート写真を撮ってもらうことを頼んだことがキッカケで結成された。その後ヘアーメイクやスタイリストなど様々なメンバーが加入し、今では総勢10名以上となっている。
『グラフィックが取りこぼしたものをつくりたい。』
通常のグラフィックのルールには捕われず、自由な発想の中から新しいものを生み出そうとしており、また、偶然性を大切にしている。中沢さんは『事前に作り込んでしまうと、それ以上先のレベルにはいけない』と言い、「Namは実験の場」と位置づける。『色々な人が気軽に参加できる開かれた場として機能させたい』と語る、Namのこれからが楽しみだ。

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