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横浜トリエンナーレ 2008

HAPPENINGText: Naoko Kawaguchi

新港ピアとも近い第3メイン会場の赤レンガ倉庫1号館前では、今回のトリエンナーレの特徴でもあるパフォーマンスの場として活用されるほか、会期中はコンサートやレクチャー・シリーズなど様々な関連プログラムも実施されている。

横浜トリエンナーレ 2008
ミランダ・ジュライ「廊下」

今回のトリエンナーレの中で個人的にもっとも印象的だった、アメリカの新世代を代表するアーティスト、ミランダ・ジュライの作品もこちらに展示されている。
日本では氏が主演・監督を務めた映画「君とボクの虹色の世界」と言えば、彼女の名前を思い出す人もいるでしょう。今回発表されたのは、長廊下に設置された49枚のパネル。幾重にも続くそのパネルには、それぞれ双六のようなストーリーが書かれており、読み進んでいくと、いつしかそれは自身への問いかけのように変わってゆく。また片面は日本語、その裏側には英訳された同文が書かれており、時間をかけて楽しめる作品になっている。

横浜トリエンナーレ 2008
ハンネ・ダルボーフェン「24の歌」

またドイツ出身のハンネ・ダルボーフェンの作品では、数列や文字列からなる同じ形式のメモが大量に並べられ、作品の演奏化であろうオルガンの音色と共に展示されている。作品名からも推測できるようにこれらは楽譜らしいが、音符の読み方や規則性は本人しか分かり得ないらしい。しばし居心地の良い空間であった。

そして最後に訪れた、日本郵船海岸通倉庫(BankART Studio NYK)では、映像作品を中心に、マシュー・バーニーダグラス・ゴードン勅使川原三郎などを含む計21組の作家の作品が展示されている。目を背けたくなるような衝撃的でグロテスクな作品も多く、一部のブースには年齢制限や入場者に忠告を掲げているところもあった。

横浜トリエンナーレ 2008
マリーナ・アブラモヴィッチ「魂の手術台」

セルビア生まれのマリーナ・アブラモヴィッチは、 パフォーマンスを主な表現手段とし、女性パフォーマーの先駆者となる。身体を基盤に個人史と社会に言及したパフォーマンス・ビデオ作品・インスタレーションを発表、国際的に高い評価を得ている。今回、彼女は「魂の手術台」と題した3つの手術台を発表した。薄暗いコンクリート打ちっぱなしの無機質な空間に、高さの違う手術台が3つ。それぞれに当てられる光の強さも変化をつけ、そこにいるだけで魂が吸い取られてしまいそうな、なんとも湿った空気を感じた。

今回紹介したメインとなる3会場はいずれも徒歩圏内に位置しているが、じっくりと各作品を楽しみたい方は時間にゆとりを持ち、歩きやすい格好で訪れることをおススメしたい。また紹介できなかったが、三溪園という日本庭園での展示や、他にも見入ってしまう作品や世界観が多くあり、日によっては参加型のイベントも多く催されている。見るだけでなく、体験型の大型アート展として、小さい子供から大人まで幅広く楽しめると思う。ぜひ自分なりのスタイルで現代アートを楽しんでみてください。

横浜トリエンナーレ 2008
会期;2008年9月13日(土)〜11月30日(日)
時間:10:00〜18:00 ※三溪園会場は17:00まで
会場:新港ピア、日本郵船海岸通倉庫(BankART Studio NYK)、
   横浜赤レンガ倉庫1号館、三溪園など
入場料:一般1,800円、大学生1,300円、高校生700円、中学生以下無料
https://yokohamatriennale.jp

Text: Naoko Kawaguchi
Photos: Naoko Kawaguchi

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