ナオヒト・ウチヤマ

PEOPLE

Tha Blue Harb Recordingからリリースのファーストアルバム「Directions」から6年の年月を経て、更なる進化を遂げるナオヒト・ウチヤマ。札幌拠点に活躍する音楽プロデューサー/DJで、今年のマジカルキャンプの霧深いメインステージでも彼のアンビエンスな世界を披露した。彼のセカンドアルバム「The Sun Also Rises」が、同じく札幌で活躍するクニユキ・タカハシ氏マスタリングの下、札幌発新レーベル「シナプス」の第一弾作品として11月22日にリリースされる。新作アルバムで、テクノからアンビエントまで75分のストーリーを繰り広げるウチヤマ氏からレーベルの発信源であるプロボにて話を伺った。

ナオヒト・ウチヤマナオヒト・ウチヤマ

ファーストアルバム以来6年ぶりのアルバムリリースとのことですが、その「The Sun Also Rises」が今回リリースされた経緯を教えてください。


プロボが不定期で開催しているシナプスというパーティーがあるんですが、今年の1月5日に今年1年の指針を決める会議があったんです。そこで、今年の方向性を決める上でアーティストのリリースをしたらどうかということになり、僕のアルバムを出すことが決まったのが始まりです。それから9月いっぱいまで制作していました。

新レーベル「シナプス」からの第一弾としてのアルバムということですが、何かテーマなどはありましたか?

レーベルの第一弾という意味合いはあまり考えてなかったですね。逆にそれ考えたら余計な制約ができてしまうと思って考えませんでした。自分としても、ファーストアルバムを出すのとほぼ同じくらいの状態のブランクがあったように感じてましたから…。でもその間、海外のレーベルからアナログのリリースはしてました。アルバムとアナログの作り方は全く違う次元の感覚で作っているから、久しぶりでとても新鮮でしたね。

アルバムとアナログの制作では、どのような点が違うのでしょうか?

シングルだと1曲でひとつの作品、アルバムだとそれ一枚でひとつの作品という風な考え方でやっています。

ナオヒト・ウチヤマ

今作のリリースにはトラック毎にそれぞれのイメージなどのコメントがあり、ご自身の楽曲に対するとても熱い想いがこもっているように感じました。

メッセージや意味のある波動から出たものを表現したいというのがありますね。6年間の間に作られた楽曲の中で、特にそういうもの達が集められたということでもあります。

他のアーティストの為に作った楽曲がありますね。

4曲目の「SOLEA」ですね。友人で、ディジェリドゥー奏者のSOLEAに向けた曲です。東京では、そのあたりの人達と濃く関わってます。朝まで日本酒飲んだりとか(笑)。

アルバムタイトルやトラックタイトルを見て思ったのは、宇宙とか星とかそういうものをテーマにされてますよね。宇宙への興味はどのようなものでしょうか?

大きいところで言うと、テーマにして作っているというよりも、僕らがそれによって創られているから、そこにテーマとしてでてきているだけのことかなと。でも宇宙というテーマにかなり心開いているというのはありますね。
地球もその中のひとつで、自分はその中の小さなひとつだということで、大きないろんなものの集合体であるというのは常に感じてます。

ナオヒト・ウチヤマ

音楽制作を始めたのはいつくらいからでしょうか?

楽曲そのものを完成させた初めての経験というのは、多分17才くらい。その頃はブレイクビーツを聴いてたんですが、バンドもやってたんです。でも高校生の遊びでやるような曲制作にちょっと嫌気がさしたのがきっかけで、自分で作ろうと思うようになりました。

バンドでは何を担当してましたか?

もともとはドラムからスタートして、バンドではギターを担当してました。でももし今だにバンドを続けていたとしたら、ドラムをずっとやっていただろうなと。それは、子供の頃和太鼓を習っていたという経験があるからかもしれません。

和太鼓を習い始めたきっかけは何だったのでしょうか?

尺八が大好きなおじいちゃんが太鼓を習いに連れて行ってくれたのが始まりです。僕は盆踊りのお祭りに太鼓を見に行くのが大好きで、その頃、太鼓を叩くあの舞台の上にあがるのが僕の夢だったんです。それはおじいちゃんには言ったことはなかったんですけど、おじいちゃんがそういう僕の姿見て何か感じてくれたのか太鼓習いに連れて行ってくれました。5才くらいの時です。

その頃が始まりで、それから高校生でバンドを組んでという流れがあり、やはり音楽でずっとやっていきたいなと思ったのもそのあたりでしょうか?

もちろん音楽がこういうカタチで人生の大半を占めるものとなるなというのは強く感じてますけど、特に音楽だけでやっていくという強い思いはそんなにないです。それ以外にもたくさんやりたいことは(今後も)きっとあって、それをやっていきたいと思います。音楽とずっと関わってやっていくなという感じを覚えたのは、その5才くらいのときからあったように思います。和太鼓の先生も太鼓を教えるのが生活の半分だったような人でしたし、そういう人が周りにたくさんいて、そういう人を見て育ってきているから。
もちろん楽しみながら音楽やってます。このアルバムは進むにつれて内生的な方向に進んでいるような雰囲気があるけど、DJする時や家で聴くテクノにしてもドラムンベースにしても、結構陽気な音楽を聴くのが好きです。

自分で制作する音楽とDJプレイする音楽は違いますか?

そうですね、作っている時は常に一人ですから、目の前に架空のことを創造しながら作る作業の時もあるし、内生に進む作業のときもあります。でも今までは内生を掘り下げる時間が多かったので、それは今回のアルバムにも半分くらいは出ているのではないかと思うんです。制作期間も長かったですし。次はもうちょっと陽の方、明るい方に向けていきたいかな。
そういう思考の過程もシングルでは出せるかなと思っています。アルバム一枚作るとなると長い時間かかってしまうし、その間に考え方変わったり、何か違うことやりたくなってしまったりするだろうし。

音楽作りをする上で影響受けている事柄はありますか?

音楽作りにおいて他のアーティストから何か影響を受けることがあるとしたら、それを細かく言ったらキリがないですよね。たぶん今まで関わった音楽全てから少なからず、良くも悪くも、何かしら影響があったかと思うんです。でも結局影響を受けるのは、生きている中で出会う人間じゃないかと思ってます。それが結局自分を形成していて、そこから天から降りてきたようなアイデアを自分というフィルターにいかにきれいに通せるか。それが可能な自分の状態であることが大切だと思うんです。自分がなるべく綺麗な状態でいれることにかなり気を使ってます。食べ物にも気を使うし、瞑想をして自分の状態を綺麗に保っておくこともそのひとつです。

食へ気を使うというのは無農薬とかそういうことでしょうか?

基本はそうですけど、全てそうすることは難しいので、主食のご飯だけは玄米とか胚芽米にするとか気を使っています。誰の言葉だったか忘れたけど「食は体を支える、体は気を支える、気は芸を支える」っていう言葉があります。それを実践したいです。

次にやりたいことは何でしょうか?

次はシングルを作りたいですね。アルバムを作るのはとても長い期間をかけてやるので、結構こういう風に風貌が変わるのが出てくるとは思うのですけど、シングル作りとなると、その短い期間、例えば3ヶ月の間にやりたいことが凝縮されて、一曲にそれが濃密に出ると思うのですよ。アルバムだと何曲もの答えをいっぺんに相手にしないとならないから、それら全てにパワーを注ぐというのもまたアルバム制作の仕事の大きなひとつかなと思うので、それを今回やってきたので、次は、自分の違うところを見つめるっていう意味でもシングルをやっていきたいなと。
僕はライブも好きだけど、曲作りの段階が一番好きです。なので、どんどん新しい楽曲作りをし、リリースしたいなと。

ずっと札幌拠点で活動したいですか?

特にはないですね。他にやりたいところが見つかれば、逆に一カ所に固着することなく行ってみたいですね。もちろん、札幌も北海道も好きなんですけど、他に行くことで、いろいろ知って今いる自分の立ち位置を知ることも可能だと思うので。

札幌のクラブミュージックシーンについてはどう思われますか?

すごく発達していると思います。他の街に住んで外から見たことないので、表面的なものしか見えてないと思うのですが、日本の中でも離島のように離れたところ、その北海道の中でも札幌には、たくさんの確立したDJやミュージシャンやバンドがいます。札幌をロック不毛の地だとか、クラブシーンが冷めると感じている人が多いとよく聞くけど、僕はそんな風には感じないですね。かなり熱い方じゃないかなと思います。
だから、逆に音楽やっている人達も、こういう困難だろうと思われる土地でも、これだけ熱く盛り上げてやっているということを心に大きく持ってやってほしいなというのはありますね。ここだからしょうがないって言ったら絶対力にならないと思うんです。そういうちょっとしたスイッチを入れるだけで大きく変わっていく人が増えてきたら、もっと大きな力になると思う。一人じゃどうしようもないですから。

海外でもシングルをリリースされているかと思うのですが、海外での評判はどうですか?

ちょっとしたシングルを出しただけでも反応がもの凄くある。日本一国でだしているのと、地球全体で出しているという違いかもしれないですけど。
僕が海外でリリースしているのはコンピレーションだけなんですよ。そのコンピレーションに収録された一曲だけでも、いろんな国から沢山レスポンスがあります。日本と違ってシーンが大きいとかそういうことなのかもしれないですけど、とにかく反応は大きいですね。

今回はライブで全国ツアーされますね。

今回のライブは個人のアルバム名義のツアーなので1人でまわりますが、いずれは1人じゃない形態の音楽もやりたいですね。いろいろ今模索していて、運命を感じるようなアーティストを探しているところです。
(ツアー情報は、MySpaceでチェックできます)

今後やりたいことや予定している活動などあれば教えてください。

音楽を学びたいという人に教える仕事もしてみたいと思います。あと、音楽制作に関しては、特にアルバムに関しては、あるひとつのポイントだけのリスナーに向けてではなく、子供が聴いてもいいなと思えるようなものを作りたい。分かる人にだけ分かればいいみたいな音楽を作るつもりはないですね。どんな種類の音楽でも年齢関係なく良いものは喜ぶと思うんですよ。子供にしても老人にしても。それは今回のアルバム制作した時にもそういう思いがあったんですよ。

ナオヒト・ウチヤマ

The Sun Also Rises
レーベル:SYNAPSE
発売日:2008年11月22日
価格:2,500円(税込)
ASIN:B001HJM2OK

ナオヒト・ウチヤマ
札幌在住プロデューサー/DJ。2002年に「Tha Blue Herb Recordings(TBHR)」よりリリースされた, 様々な音楽性を個性的かつ感性豊かに表現したフルアルバム「Directions」にてデビュー。その後、TBHRの第2弾レーベルコンピレーション「Only For Mind Stone Long」に、「朱月」「NIKISI」の2曲を提供。「NIKISI ep」として12インチリリースされたこの作品では本人によるギタープレイも披露され、より有機的な要素を盛り込む事で自らの世界をより押し広げた意欲作であった。2007年にはドイツ「Statik Entertainmen」のコンピレーションEPに「Green Echoes」が収録され、現存の流行や風潮に呑まれる事なく、常に日本人としての独自の感性を通して表現される楽曲群は本場ヨーロッパのテクノファンからも熱い支持を得ている。2008年11月22日、待望のセカンドアルバム「The Sun Also Rises」をリリース。ストレートなダンスグルーヴと唯一無二のメロディーセンス、北国のアーティストらしい独得の空気感、そしてアルバム全体をまとめ上げるプロデュース力。
DJとしても札幌プレシャスホールにて開催されるレジデントパーティー「SYNAPSE」をはじめ精力的に全国各地のクラブや野外イベントにてプレイ。グルーヴジャンキーと自らを称する堅実なボトムラインと、思考から脱し未知の時間を切り開く世界観を持つプレイで好評を得ている。

Text: Mariko Takei
Photo: Hideki Takemoto

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