LY

PEOPLE

ぶくぶくぶよぶよもくもく
きらきらはかなくせつない、ふしぎなふしぎな黒と白のLyの世界。

内面世界に登場するキャラクター達が織りなす景色を、連鎖的に構築して絵画として表現しているアーティスト。角の生えた奇妙な生き物や男性器を携えたクリーチャー、生まれては増殖して、ゆっくりと消え去っていく儚い世界観が特徴。一見すると、まずは本人の死生観や性的な世界観が見て取れるが、さらには現代社会に蔓延するディスコミュニケーションや性差などのボーダーを、マージナルに行き来することへの憧れなど。 作品からは隠されたメッセージが散見できる。

Ly

自己紹介をお願いします。

MONOCHROME ARTISTのLyです。
1981年東京生まれ。黒と白で絵を描いています。

Ly
夢に出てきたのっぺらぼうの生き物

現在、モノクロアーティストとして活躍されていますが、なぜ、モノクロの世界に辿り着いたのでしょうか?

なんで辿り着いたかは自分でもよくわからないのですが、自然と今のスタイルになっていました。でも、Lyの生活の中にはいつも黒という色が目立っていて、過去を辿るといろいろなところにモノクロだけになった要素があるように思えます。

白よりも黒に対する執着心があって、小さい頃から自分の部屋が真っ黒だったんです(伯父が建築家で…)。壁とか机とか黒で、窓は大きいのだけれど銀のブラインドだけで、今思うとおしゃれな感じなんですけれど、当時はお友達呼んでも「え?」って顔されてしまって、ほんと洞窟みたいだし始めは慣れなかったのです。そんな真っ黒な空間で絵を描いたり勉強したりしていたので視界にはいつも黒があって、黒が落ち着く色にいつの間にかなっていたのです。そして今と変わらず小さい頃から描いていたのが黒いペンでした。黒いペンと紙があっていつも描いてるっといった感じです。塗り絵も嫌いで塗っても2トーンですませちゃうところがありました。

あと母が赤が嫌いで、幼稚園や小学生の頃って女の子って学校で赤いものを持たされるじゃないですか。あれも全部、黒にされていましたね。絵の具バッグとかお習字の道具とか男の子といっしょに黒を持たされていました。小学生からこどもの絵画教室に行って、いろんな色をつかって描いてるうちに自分の大好きな黒には白の色しか合ないなと感じたことも大きいです。

そして、10代後半からもう黒と白を使ってしか作品を創らなくなり、今に至ります。小さい頃に感じたことがとても大きい影響を今でも与えています。

Ly
記憶のぶくぶく

描かれているキャラクターは、Lyさんの内面世界に登場すると伺いました。Lyさんの内面世界とはどのような世界なのでしょうか?また男性器を主にモチーフにしている経緯を教えてください。

Lyの内面世界とは完全に妄想世界ですね。これも小さい頃のことが大きく影響しています。空想癖っていうのですか、いろんな空想をしていました。ここの木には何がいるんだろうとか、後ろを振り向いたら何がいるかとか、あの部屋の角にはどんな生き物がいるんだろうって、動物やモンスターみたいな生き物を中心にいっぱい空想してたんです。そうやっているうちに自分の中に完璧な生き物の世界ができてきました。空想をもっと豊かにするイメージトレーニングとか勝手に考えてやったりしてました。絵を描いていない時はとりあえず見えるくらい空想するんです。

男性器がモチーフなのは、男性器は精神的には嫌いなんです。だけれど形が好きだから。Lyの両親から聞いたおもしろい話もあって、小さい頃に『ママのお腹の中にいた時に親指みたいなウインナー落ちてて食べなさいって言われたんだけど、食べたくないから後ろの子にあげたの』って意味不明な話をしてたらしいです。その後に男の子が生まれて、それがLyの弟で両親はLyたち兄弟はほんとは性別が逆だったのかもねって話してました。だから、ないものを探し求めて描いてるのよ!とか言われます。自分ではよくわからないんですけれど…

あと、これも小さい頃の話ですがコクトーかなんかの男性器が描いてある絵を見てしまったのも衝撃でした。マネして描いてましたから。生き物を描いていて男性器を描くのは普通だったのです。でも、さずがに中学生や高校生の時は人になんて見せられませんでした。堂々と男性器の描いてある絵が見せられるようになったのもここ6、7年です。ぶくぶくぶよぶよもくもくした生き物を描くのが好きなので、その普通な流れで男性器っていう不思議な生き物を描くのが好きなんだと思います。

Ly
つくりもの空気

作品を拝見させていただき思ったのですが、数々のキャラクターが群れをなしているというか、集合している作品が多いと思いました。それはHPに書かれているような『現代社会に蔓延するディスコミュニケーションや性差などのボーダーを、マージナルに行き来することへの憧れ』に繋がっていますか?

HPに書かれている文章はLyが描くことや描いた生き物や世界のこと、Ly自身のことを理解してくれている方が文章にしてくれたものなのですが、繋がっているのだと思います。そして、群れをなして集合している絵が多いことも今、気がつきました!群れをなしているのは、描く世界にはLyを中心にたっくさん生き物がいるのですよ、その生き物がぼこぼこと現れるイメージです。なので群れをなしているような絵が多いのだと思います。その、群れは止まることなく膨張してどんどん増えていくのです。だから描いているとペンが止まらないんです。Lyの世界には様々なボーダーもなければディスコミュニケーションも慢性していません。でも、絵とちがう世界(現代社会)はLyにとってすこし難しく、絵の世界のようにマージナルに行き来することは憧れなのかもしれません。

ブログを拝見させていただきました。Lyさんの物語的なタイトルと文章が可愛くて、とても好きなのですが、作品を描くときも物語を考えていますか?

BLOGはほとんど妄想日記か夢日記なのです。絵をいっぱい描いたり、いっぱい空想すると夢に直接影響を与えるようでLyのみる夢は凄いのです。絵を描くときも描いてると同時に物語は生まれます。でも、描いてる生き物それぞれの思いや物語なのでまとまった物語ではないのですけど。

普段、どのような環境で作品を考え、描いていますか?

落ち着いて描けるのは自分のお部屋です。考えてから描くタイプじゃなくて描きはじめてどんどん描くタイプです。それか空想したのをその場で描くとかです。これは描くところがあればどこでもできます。

Ly
WHAT DO YOU WISH? (EVA AT WORK)

ライブペイント、展覧会等、今まで携わってきたお仕事の中で、一番印象深かったことは何ですか?

最近のLaforet原宿の壁画とDICKS展とエヴァのお仕事です。壁画は10メートルくらいのものでライブペイントで描いて完成していったのですが、描いててとってもとってもたのしかったので印象深いです。DICKS展は、Lyの絵は生き物に男性器がついてるという絵が多いのですが、男性器自体が生き物として登場している絵もあるのです。その男性器だけの絵の展覧会を初めてしてみました。いろんな意見がありましたが、これの展覧会は周期的に生涯続けていこうと思っています。Lyは可愛いと思っているのですが、「うわー」と思う人もいるので印象深かったです。新世紀エヴァンゲリオンが好きだったのでエヴァのお仕事ができたのもうれしかったです。Lyの生き物と綾波レイが合体した生き物の絵を制作しました。

Ly
SLEEPWALKER @ WALL(Laforet harajuku)

聞いている音楽、ファッション等、Lyさんの好きなもの、興味がある事を教えてください。

音楽はピアノとかチェロのクラシック、Alva noto、world’s end girlfriendとかです。ファッションは、COMME des GARCONSです。好きなことはアニメーションとスケートボードと森へ行くことです。

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夢を走るDICKくんたち

Lyさんのアートワークで、大切にしているものは何でしょうか?

Lyの世界の生き物を丁寧に愛情こめて描いてあげることです。本当に描く生き物はとても大切で可愛いです。ひとりひとりが個別に生きている生き物だと思っています。だから、Lyの眼の前に出てきてくれてありがとう、とも思います。

今後のスケジュールを教えてください。

10月25日〜11月3日まで南青山の「SPICA GALLERY」で壁画を制作します。
あと、10月末から開催される青参道アートフェアにも参加します。

Text: Kazumi Oiwa

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