エリック・ナッケ

PEOPLEText: Yurie Hatano

バルセロナのOFFFで行ったというワークショップ「ペイント・バイ・ナンバー」はどうでしたか?

おもしろいのは恐らく僕が結局、ワークショップに出席した人たちと同じくらい僕自身のデザインプロセスに関して沢山学んだということです。段階を追って自身のプロセスを脱構築することが、1番難しかったですね。プロセスに対して正式なアプローチを取ることなど滅多にないからです。僕の興味はものすごい早さで変わるので、よく横道にそれる傾向があります。

ワークショップへの敬意を込めて、僕はとてもいい反応だったと思います。会話が両サイドからなされ、直面している問題の解決に対してみんながアイディアや見解を共有していた時が、お気に入りの時間でした。僕自身のプロセスから僕が提供できる洞察に関わらず、同じ問題に対する他の人のアイディアや想像力による解決を見ることや、より協力的になれる会話になることの方がおもしろいこともあります。

今月のSHIFTカバーのコンセプトを聞かせてください。

今月SHIFTのためにつくったカバーは、今僕がプリント作成のために手がけているドローイングエンジンの動く表現です。
描かれるリボンに色をつけるためにムービーに埋め込まれている3つのイメージをランダムに循環させています。 ユーザーのマウスの動きにも誘導されますが、ユーザーの動きが検出されない時は、ランダムに動きます。

影響を受けてきたクリエイターはいますか?

影響とは強烈な言葉ですよね。まるで何らかの制御不可能な切望の力で、独創性の減少を指示するかのようです。つまり、そっけない返事をするなら『いいえ』でしょう。 僕は探検と遊びによって、ものを作るための意識的な努力をしてきました。ただし、似たような質問(僕が考えるに、より格好のつく質問)『インスパイアされたクリエイターはいますか?』に答えるなら。もちろんです!

大抵、僕が一番インスパイアされているのは、特定の作品というよりもプロセスにあります。
昨年の秋、僕はバルセロナにあるガウディ博物館のうちの一つに行きました。バルセロナには何回か訪れていて、個人的に彼の作品に感銘を受ける機会はあったのですが。今回僕は、ガウディがどのように建築の構造デザインをしていたかという展示を見ました。天井から吊るされたチェーンと小さなサンドバッグのシリーズです。技術がない時、これが調和的に構造負荷に耐えることができる高い構造物をデザインする方法でした(そして恐らく以前には試されたことのないものです)。そのアイディアのシンプルさと、その実行の複雑さに、僕は純粋に刺激を受けました。

エリック・ナッケ
From natatabby’s flickr stream.

次のプランを聞かせてください。

正直に言って、次がどうなるか本当にわかりません。実行する時間よりもアイディアの方が沢山あるので、多くのことがその日の気まぐれになっていきます。

作成してきたアートワークを、コンピューター環境や限られたスクリーンスペースの境界の外に持ち出す方法を探すことに、とても興味があります。大規模な作品の印刷は、それが見える初めのステップとなっています。また、数年前に購入した刺繍機で、デザインを刺繍に変換することも始めました。それから、もっとやりたいと思うのが、レーザーエッジングとスクリーン印刷です。

SHIFT読者にメッセージをお願いします。

毎週(いい子なら毎日)何か新しいことをしてください。
自分に挑戦してくる友人を持とう。
自分のすることを愛すこと。

Text: Yurie Hatano

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