エリック・ナッケ

PEOPLEText: Yurie Hatano

デジタルメディアに注目することになったきっかけ、経緯、理由は何ですか?

90年代の間に典型的なプリントデザインをやっていて、そのあとにデジタルメディアに注目し始めました。一番の魅力は、実際に無制限の人々に向かってコンテンツを配信できることでした。特に、僕がこれまでに手がけてきたデザイン作品の多くを考えると、それはデジタルから始まっています。印刷段階で問題が浮き彫りになるいくつかのプリントプロジェクトに比べ、問題を即座に修復できる事も気に入った理由です。

つまり、僕にこのメディアを学び探求させてきたものとは、聴衆と対話する能力です。また、インタラクティブな体験や環境を作ることです。それでいて従来のコミュニケーションデザインの見解から、デザイナーにより好意的なプログラムを見てきました。当時(95/96年)選択されるプログラムは「Director」で、言語は「lingo」でした。 初めは、タイムラインでオブジェクトをアニメ化するなんと簡単な方法か、と気に入りましたが、僕にとっての魅力は、実際には同じことができるのだとしても方程式に少しの無作為な値を加えることで無限に異なるコードを書くことでした。

最近の作品をいくつか紹介してください。

僕がコードを基にした制作を始めたとき、作り出した作品の多くが実験の状況下にありました。その目的は、わずかな教育資源しかない分野の中で独学の方法を見つけることでした。実験とは、僕や当時の多くの人が、このデジタルメディアの中でどのように可能なことを発見していくかというものでした。そのうち、それらの実験が商業的な仕事になり、解決すべき最もおもしろい問題とは、必ずしも自分のための作品にあるというわけではないことがわかりました。
商業的な仕事をして何年も立つと、芸術的な表現の手段としての、より大きい可能性がこのメディアに現れ始めました。プロセッサのパワーやツール(具体的にはフラッシュ)の改良によって、バリアも減ってきました。より複雑な、改良されたデザインが可能になりました。

以下は、過去のいくつかのシリーズ作品です。

エリック・ナッケ
Journey

エリック・ナッケ
Symmetry

過去2年の作品は、僕のFlickerの「Exploring the Medium」をご覧ください。

FITCやOFFFなど、世界で開かれているデジタル・クリエイティブのカンファレンスにてスピーカーとして活躍していますが、それらに共通して伝えようとしていることは何ですか?

一生懸命働くこと。学ぶこと。追究すること。

知識とは創造の過程における基盤です。ただ知識には限界があります。なので、完全に新しい何かを作るためには、想像と創造に働きかけることが大事です。あなたにとっての次のデザインの挑戦が、過去のプロジェクトで似たような解決をされていることがあるかもしれませんが、大事なのは解決する新しい方法を見つけることです。同様に、失敗への恐怖と戦うことも重要です。学習の必然の過程として、成功する人の能力とは、失敗に立ち向かい、認める能力に関連しています。

成功と失敗は切っても切れないもの。機械は反復が上手です。人は夢想が上手です。繰り返しの作業を機械に残して、あなたの想像力が膨らむための方法を見つけてください。

それらカンファレンスを通しての反応はいかがですか?国によっての違いなどはありますか?

それぞれの場所が、それぞれにとても違います。アメリカの中でさえそうです。地理的なことを超えて、カンファレンスで生まれる雰囲気には沢山の要素があります。受けるフィードバックの種類にも同じ事が言えます。

位置や開催地に関わらず、僕がいつも集中しようと心掛けていることがいくつかあります。そしてそれらは、僕が受けるフィードバックとして大きな影響を持っているものです。恐らく一番大事なのは、いつもプレゼンテーションの中で同じ情熱を示す事。それから、彼らが持ち帰る価値ある何かを与えることも、保証しようと努力しています。プロセスに対しての価値ある見解も、作品の背後にある動機も語らず、熱意なく作品のポートフォーリオを見せられることほどがっかりすることはありませんからね。

10月14日、アジアで初の「FITCソウル 2008」が開催されますが、このイベントに期待することは何ですか?

往復40時間以上のフライトの他にですか?笑

FITCソウルは、その分野において最も優れた人たちが、動機や過程についての洞察を披露しながらパッションを語ることを目撃できるイベントになると思います。個人的には、何年も前に初めてソウルに行った時に幸運な出会いをしたのですが、ソウルにいるその人たちと会うのを楽しみにしています。

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