W+K 東京LAB「TOKYO.点」

THINGSText: Vicente Gutierrez

W+K東京LAB(以下WKTLAB)は、東京を拠点にするクリエイティブ・エージェンシー「W+K TOKYO」(ワイデン+ケネディ・トウキョウ)によるミュージックレーベルかつクリエイティブ表現のためのアウトレット。5年前、「ハイブリッド」というコンセプトのもと設立され、クリエイティブ表現の新しい形や、テクノロジーによる実験を、アーティスト達と共にスタートした。
強烈かつ創造的な表現力でリリースされる作品群は、全てミュージシャン達と、WKLABのビジュアルチームのコラボレーションによるものだ。設立から5年、10枚目のリリースを記念して、彼らは見事なブック+DVD(256ページ、70分)を出版。今、WKLABは、東京の全てを吸収しながら、強力な音と映像と共にユニークなビジョンを世界に発信し続けている。
私たちは、A&Rでありプロデューサーのブルース池田氏に、レーベルの今とこれからについて話を伺う機会を得た。

TOKYO点
Tokyo Ten, 256 pages of eye candy. © W+K TOKYO LAB

とても厚い本ですね。どのようなコンセプトで始まったのですか?

レーベル立ち上げ5周年、10枚目のリリースという節目で、WKLABの進化の過程においても重要なタイミングだったので、何かフレッシュで新しいことをしたいと思いました。今までリリースした9枚のアルバムのために作られたビジュアルのリミックスと、これまでにコラボレーションをしてきた42人のアーティスト(グラフィックデザイナー、イラストレーター、フォトグラファー等)の新しい作品を掲載しています。
彼らには、「TOKYO.点」というコンセプトを自由に解釈してもらい、それぞれの東京に対するビジョンを表現した作品を制作してもらいました。
「点」という漢字には、時間的な瞬間、ドット、位置、また何かをする際の理由という意味が込められています。アーティスト達には日本文化や東京のパワーについて、それぞれの「点」をビジュアル的に表現してもらったんです。また、TOKYO.点のブック+DVDは、WKTLABが、「音楽」だけに焦点を当てるのではなく、どのように「音楽」を発信しているかということの一つの例にもなっています。

5年を経て、日本のレーベル界での位置はどこになりますか?エイベックスのような大手レーベルでもなく、Pヴァインのような小さなインディーレーベルでもなく…。

WKTLABはインディペンデントレーベルであって、だからこそ面白いと思っています。メンバーはA&Rが一人と、5人のビジュアル・アーティストで、小さなチームですが、ある意味メジャーレーベルでもあります。去年からEMIとレーベル契約を結んでいて、自分達のコンテンツに関するクリエイティブ・コントロールは全て維持しながら、様々なプラットフォームで音楽を発信し、フレッシュで新しい音楽、アーバンカルチャーに興味のあるより多くの人たちに作品を届けています。他の多くのレーベルと比べて、僕達のポジションはとてもユニークなものでしょうね。

TOKYO点
DJ Uppercut in action with 3 Screens. Tokyo Ten Party, Liquid Room, Tokyo, July 2008. © Mark Oxley

音楽業界は大きく変わっていますが、レーベルとして現状を生き抜くにあたって、どのように考えていますか?

全てが変化しているので、面白く、そして難しい状況です。CDマーケットは毎月縮小していて、デジタルマーケットは成長してますが、その拡大の速さは十分ではありません。ただ拡大はスローペースでも、これらの変化は無視できないものです。このトランジッションの状況において、どう進むべきかチームともよく話しをしています。
5年前にスタートした時は、いわゆる伝統的な音楽業界モデルに沿ってレーベルを立ち上げましたが、今は何か新しいデジタルなものに進化しなければならないと感じます。デジタルのフォーマットが業界を救うとは言いませんが、すでに方向はデジタルにあるわけで、色々な方法論を変え続けています。みんなが答えを探していて、新しい事を試していますよね。

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