ブライアン・ジョーンズタウン・マサカー

PEOPLEText: Simon Borkin

ブライアン・ジョーンズタウン・マサカー(以下BJM)のライブに、行ったことが無いのだとしたら、それはお気の毒だ。彼らの音楽は、そんじょそこらのめそめそしたインディーズバンドとは訳が違う。とはいえ、過去13年の彼らの活動が、メジャーシーンに露出したことはほとんど無かった。その見る目の無さときたら、まさに犯罪沙汰である。

ブライアン・ジョーンズタウン・マサカー

遅ればせながら、そしてどちらかというとありがた迷惑にも、彼らが注目を浴びたのは、2004年ロック界のドキュメンタリーフィルム「DIG!2004」が公開された後のことだ。この映画の中で、フロントマンのアントン・ニューコムはヘロインアディクトで誇大妄想のキ○ガイに描かれているのだが。さらに、ステージ上の乱闘やののしり合いが、BJMの十八番としてたっぷりと映画にも登場する。だから、今夜のロンドンライブでも、バンドメンバー達が言い争いを始めるのを、心密かに待っている者たちが、この中にきっと沢山いるんだろう。乱闘があってこそのBJMなのだから。

ブライアン・ジョーンズタウン・マサカー

メンバーが、さもダルそうに登場。始まりの合図は何もなし。観客になど目もくれずそれぞれにチューニングを始める。 BJMは、客に媚びたりなんかはしないのだ。準備が整うと、アントンが誰かの顔に蹴りを入れるのを心待ちにしている(事実DIG!で見事な蹴りを披露しているのだが)観客の呼びかけを完全に無視して「Whoever you are」が始まる。96年のアルバム「Give It Back」からのオールドクラシック 。ファンお気に入りの一曲だ。

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