セルビア現代アート展「オクトーバー・サロン」

PEOPLEText: Eduard Prats Molner

オクトーバー・サロンは1960年に発足し、今やセルビアで最も重要な現代アート展と考えられており、2004年からは国際的な展覧会として開催されている。アートでの対話という形で、世界中のアーティストと地元アーティストの最新作品が展示される。アートディレクターは毎年新しく任命され、一般の人たちが興味を持つような、受け入れられやすいコンセプトのもと、展覧会も毎回新しいものとして手がけられている。

ベルグラード市庁舎の協賛の下、オクトーバー・サロンはベルグラード文化センターが主催する。2007年度に開催された第48回オクトーバー・サロンでは、全世界にまたがる争い、宗教やイデオロギー、社会や文化の価値を形成する仕組みが過激になっているこの世の中で、アーティストたちが自らがとるべき姿勢や方向性を示したメッセージを発信した。この展覧会は、「Micro Narratives(小さな物語)」というテーマで開催された。

October Salon, Belgrade
Danica Jovovic Prodanovic, Director of the Belgrade cultural Center

自己紹介をお願いします。

私はベルグラードで生まれました。建築家になる勉強をし、1997年まで建築家、そしてプロダクトデザイナーとして仕事をしていました。アートや建築について雑誌に寄稿したり、ガウディーについての文献やその他建築についての記事を翻訳なども手がけ、1997年からは、ヴィジュアルアート、音楽、映画、文学の4つのプログラムを運営する公的文化機関であるベルグレード文化センターの総合マネージャーとして活動しています。ベルグレード文化センターでは、映画、音楽や文学の祭典、国際建築週間、そしてヴィジュアルアートの分野で毎年開催されるイベントで最大規模と称される国際オクトーバー・サロンなど、毎年250のプログラムが開催されています。

オクトーバー・サロンのことについてお伺いしたいのですが、この展覧会はどのように始まり、ここまででどのように発展してきたのでしょうか?

オクトーバー・サロンの開催が始まってからほぼ50年が経ち、セルビアでは最も傑出したヴィジュアルアートのイベントとなっています。ベルグラード市が設立、援助しており、ベルグラード文化センターによって運営されています。セルビアの現代アートで最も成功していることを全面に主張することで、20世紀後半のセルビア現代アートの研究に大きく貢献していると感じています。

4年前、委員会の決断により方針を変えてから、地元、そして世界的にも活躍するアートディレクター達(2004年にはポーランドのアンダ・ロッテンバーグ、2005年にはセルビアのダルカ・ラドサヴリェヴィッチ、2006年にはドイツのレネ・ブロック、2007年にはハンガリー/フランスのロランド・ヘジイ)をオクトーバー・サロンに迎え、国際的な展覧会として開催しています。

ベルグラード市内各地の会場で、様々な国から参加するおよそ80人のアーティスト達のための展示を、私達は毎年取りまとめます。過去に開催されたものや、9月26日から開催されるイベントについては、私達のサイトに全て掲載されているので、そこから見ていただけます。

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48th October Salon (2007): Contemporaries by Gloria Friedmann (left) and Sleeping boy by Hyunsoo Kim (right)

イベントにはどのくらい関わっているのですか?

今まで20年以上に渡ってこのイベントを運営している公的施設、ベルグラード文化センターのディレクターとしては、1997年の就任以来ずっと関わっています。

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48th October Salon (2007): Sculpture by Kevin Francis Gray (left) and part of Dolls from Françoise Pétrovich (right)

今までで一番貢献できたと感じるのは何でしょうか?

オクトーバー・サロンを、地元のイベントから国際アートイベントとしての地位に築きあげるまで、大変な努力が必要でした。このようなイベントが、地元アーティストと国外のアーティストとの対話をつなげ、途絶えてしまった施設同士の繋がりを立て直し、ヨーロッパの文化的地図の上にベルグラードをもう一度重要な位置に立たせるための一番の方法と信じています。

今後、このイベントで達成したいことなどありますか?

このイベントが高く評価され、確かな情報が流れ、もっと多くの市民、アーティスト、評論家達が訪れ、ベルグラードを体験してもらえるようになるようにしたいです。このことにより、地元アーティストに道が開け、世界のアートコミュニティーの中で彼らが自分たちの作品を見せる機会が増え、その一方で鑑賞者も実際の情報を得ることができる良い機会にもなります。

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