クリスチャン・ターデラ

PEOPLEText: Gisella Lifchitz

クリスチャン・ターデラは、私たちに夢の世界を創り続けている。私が彼の世界に一歩足を踏み入れた瞬間、自分が誰もが一つは持っているような想像や空想の一番深いところにずっと残る子供用の本の真ん中にいるような気がした。

Cristian Turdera
Photo: Paulo Fast

クリスチャンの世界を知るということは、タイム・マシーンの旅行と似ている。突然、私は5歳に戻り、おじいちゃんは毎朝私を起こすために自分で作った風変わりで素敵なお話をしてくれた。

とにかく私は途方も無い歳月の子供時代へと運んでくれるクリスチャンの声を聞いていた。考えられるのはクリスチャンのやっていることがどんなに偉大かということだけだった。彼は子供むけにストーリーを描き、見ただけで好きになってしまうようなかわいいキャラクターで話してくれる。私たちはもういちど子供に戻りたくなってしまうか、熱心に本を読んでいる間に子供に戻ってしまう。

Cristian Turdera

クリスチャン・ターデラは、グラフィックデザインを学び、今はイラストレーションとデザイン、2つの作業を組み合わせている。彼には2つを別々に分けることができないのだ。なぜかというと、彼の色使い、輪郭、線はずっとそこにあったかのようで、まるで勝手にでき上がったかのようだからである。

今、彼は素敵な児童書の出版会社、ペケニオ編集局(小さな編集局)でアートチーフとして仕事をしている。この小さな会社は「女王様メイブ(Queen Mab)」と「決めたの歌(Decided Song)」という2冊の彼の本を出版している。彼はこの本に加えて、別のイラスト集「三回目の怪獣ポトト(Pototo, three times a monster)」のデザインも手掛けている。

ペケニオ編集局は編集の企画であり、今年、今までで一番活気付いた。彼らは4冊新刊を出版し、さらに素敵な発表会をパレルモの書店で開いた。この書店では子供も大人も共に読書や学習、新しい世界の大発見に熱中している。『我々は自分で欲しくなるような本を編集する、それが基準です。』ターデラが教えてくれた。

Cristian Turdera

『グラフィックデザインを勉強しているときに先生の一人であるエレニオ・ピコに出会いました。それが大学生活の中での最も重要なことですね。この人は描くことではなく考えることを教えてくれたんです。イラストレーションはテクニックやスタイルよりもアイディアによるものだと学びました。この人とは今は友達ですが、この人は私に今やることや何もしないでいることなんかを強制してきますね。そういう人なんです。』と、彼は言った。

『そのあと、大手の出版社でデザインを始めて、イラストレーター・フォーラムの一員になりました。この瞬間から、一度に沢山良いことが起こりましたね。で、今はイラストで生活しています。これは他のものと同じように仕事なんです。靴職人と似てますね。一生懸命働けば成功します。私は仕事をするのと本の中に自分の作品を見るのが本当に好きで、本がイラストを自然にサポートしてくれると信じています。本を崇拝してますよ、もちろん』彼は優しく微笑みながら言った。

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