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オプトロニカ・フェスティバル 2007

HAPPENINGText: Peta Jenkin

何かしら新しいもの担い手になった気がするのは、いつでも心を踊らす。アートやファッション、デザインの流行は、やって来ては過ぎ去って行くものであるが、そこには常にアーティストが未知の領域に足を踏み入れたり、また少しずつ押し進めて開拓していくものがある。私たちの相棒、コンピューターもその一つである。どうやら何かとても面白い冒険がオーディオ・ビジュアルの分野で試みられているようである。そこではアーティストがプログラミングや最新のソフトを駆使してながら映像とサウンドを融合し、彼らの表現の手段を試行錯誤している。

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Optronica Lounge. Photo: Lisa Loco

オプトロニカ・フェスティバルが先日ロンドンで開催され、この新しいアートフォームの発表の場となった。このオプトロニカのプログラムは5日にわたってライブパフォーマンス、トーク、アニメーションの上映やVJのワークショップを交えて催された。

ライブ演奏、それだけでも充分な迫力であったが、映像が加わることにより、アーティスト自身にとって突然仕事量が増えたようだ。音と映像、どちらが先にくるのだろうか?映像が音を導くのか、またはその逆も然り?この2つの相互作用とは?そして、オーディエンス側としてはどのように楽しむべきなのだろうか?

全てのこういった疑問がオプトロニカ・フェスティバルでさらに顕著になっていく。アート、映画、音楽、DJ、VJといった、それぞれが幾つものメディアにまたがって、多彩な形でオーディオ・ビジュアル分野に携わっているアーティスト達の手によって。

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Trevor Jackson and RGBPM. Photo: Joe Plimmer

フェスティバルは水曜日の夜、ブリティッシュ・フィルム・インスティテュートの巨大なIMAXシアターで始まり、レモン・ジェリーとDJで音楽プロデューサーでもあるトレバー・ジャクソンの2人のデュオへの期待は非常に高く、チケットは全て売り切れとなった。両氏共にビジュアル分野よりも音楽界での偉業で知られているが、それは大胆で勇気のある口火となった。

スケールの大きなスクリーンに加えて溢れ出す大音量の音響システムが観衆に解き放たれ、レモン・ジェリーの「lota」(抽象的な要素の創造力)、そしてトレバー・ジャクソンの「BGBPM」共に鼓動の高鳴りを感じさせる幾何学的な抽象で大きな印象を与えた。IMAXスクリーンの素晴らしいスケールの大きさには釘付けになり、飲み込まれる感覚を感じざるを得ず、持続するテストパターンが最後まで続いていくといっても過言ではないが、それでも観衆を魅了して止まない。

開始直後のぼうっとした感覚が収まると、断続的に大音量のハウス/テクノが鳴り始め、それはむしろ映画館にいるというよりも、クラブの快適な椅子に腰掛けているような感覚である。誇張するつもりはないが、音楽業界の第一人者たちが彼らの音楽に2000ピクセルの大キャンバスの映像を加えて何が起こるのか、それを経験できるのは素晴らしいことである。

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Semiconductor. Photo: Joe Plimmer

こういったスタイルのパフォーマンスは好みが分かれるかもしれないが、イギリス在住のアーティスト、セミコンダクターによって引き継がれた夕方の部は非の打ち所のないものであった。愛嬌のある都会派カップルは、NASA宇宙科学研究所にいた頃に手に入れたソース源を元に太陽の表面の太陽光のイメージからなるアニメーション、「ブリリアント・ノイズ」とタイトルづけられたとても魅惑する作品を含め、2つのオーディオ・ビジュアル・パフォーマンスを行った。

太陽の表面は、最小限なバン、ビシっ、ヒュー、シャーといった電子音を伴って赤々と輝きながらゆらめきをくりかえし、この舞台に最も適した、まるでIMAXスペースドキュメンタリーの番外編のようである。アーティストのルース・ジャーマンとジョセフ・ゲルハルトは彼らの作品を「サウンド・フィルム」、音がコンピューターのコードを触発して行動に導き、微かに動くピクセルをコマの連続へと変換し、または抽象的な色の断片で好き放題に楽しむものと話す。

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