ツジコノリコ

PEOPLEText: Yasuharu Motomiya

海外の名門インディー・レーベルからリリースを重ね、世界的な評価を得ている音響/エクスペリメンタル・ポップ界のプリンセス、ツジコノリコ。パリを拠点に活動し、天衣無縫な音楽性でミュージシャンやファッション界からも高い評価を得る。数々のコラボレート作品、前衛的なプロジェクトを経由し、彼女の中のポップさが全開に花開いたブレイクポイント間違いナシの一大傑作、2月にリリースとなる「SOLO」についてお話を伺った。

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まず始めに、今回のアルバムのタイトルはずばり「SOLO」ですが、どのような経緯でこのタイトルにしたのでしょうか?

一昨年はコラボレーションのアルバムを4個作りました。一人じゃないとできない事だっていっぱいあるなあって思いました。子供の頃に必死の一人遊びが楽しかったみたいに、誰も見ていないと分かるとのりのりで部屋や草原で踊ってみたり、歌ってみたり、滑稽で笑っちゃう種類のものもありますけれど、しっかりとまたそういうのをまたやりたくなったんですね。独り舞台を見るのも好きですし。インターフェイスの両側に2つ自分がいるんですね。そしてその両側からインターフェイスを超えてどんどん境界線というかフロンティアを作って行く感じです。

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また、アートワークについて、まつわる話があれば教えてください。

megoからの作品はいつも私側でデザインしているので、毎度の様にとても楽しかったです。そもそも大阪出身が災いしているのか、キレーにツルリとおしゃれ、とかかわいい〜おしゃれ、とかあまり興味ないってか、もっと行ってアンチなんですね。どっちかというと黒人や東アジアの屈折したようなファッションの方に好感ありますし。とかいって別に何もデザインに関して大した意見はないんですけれど、まあとにかくこのCD、何この趣味?くらいに仕上がって、とてもうれしいです。やりながら可笑しくって笑っていました。

アルバム全体を通して、今までの作品より柔らかな色彩を感じますが、何か意識してこういった構成にしたのでしょうか?

柔らかいですか。少し意識していた事と言えば、少女都市です。あのような作品はもう作れないんですが、上でも言いましたけれど、一人パーティーが幸せな、そういうとてもフレッシュなあの頃の音楽始めた頃の気持ちのもって行き方は忘れたくないなあって常に思っていました。世の中、ウンコみたいな事であふれているから、ああいうナイーヴかもしれないけれど、でもフレッシュなキラキラした気分ってのをキープするのは難しいんですね。特になんとなく音楽作りを始めただけですから特に情熱のキープが難しいです。でも情熱がないと人生つまらないので、キープしようとしているのと、あとは近年映画作りを始めました。これはもう最高にワクワクしますね。

特に3曲目の「Ending kiss」は素晴らしいですね。この曲についてなにかありますか?

これは、安宅秀紀さんって言う人との共作です。安宅さんは大好きですね。私が19、20くらいの頃に出会ったのかな。20始めの頃に安宅さんが曲を作って私が歌っていくつも作ったのにちっともリリースされなかったんですね。今彼らはどんな音楽リリースしてるんだろうね。ま、さておき、しばらーくしてまた一緒に安宅さんとやったの。データやり取りして。それがこの曲です。安宅さんは自分でももちろんもちろん曲作ってるけど、エンジニアで忙しいかなぁ。でもまた是非一緒に作りたいです。

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アルバムの制作においてのエピソード、などがあれば教えてください。

今回はボツにした曲が結構ありました。一昨年の夏にもうすぐ完成かな、って思ってたんですが今までダメ出しなんてしてきた事のないピタにばかばかしい、って言われて何曲か作り直してでき上がったのは去年の夏ですね。もちろん自主的なボツも半分くらいありました。

ラップしたかったんです。だけど全くラップにならなかったので小話語りーその話の内容も下らないーになっちゃったんですね。でも可笑しくって気に入ってたんだけど、ヨーロッパ人のピタには小林幸子の曲にありそうなあの語りはさすがに理解不能だったのか、下らない、の一言。で、真面目に歌い直しました。

そして、こうしてリリースになったわけですが、制作初期段階、制作の中盤、終わり、そしてリリースと楽曲に対する心境の変化などがあったと思うのですが、それぞれの段階での心境などを教えてください。

「中華レストランで」、は飛び抜けて一番ふるい曲じゃないかなあと思います。そっから始まって「染み」が一番新しい曲。そしてリリース。始めはもう結構、気分がハチャメチャですね、曲なんてほとんど作るヒマなし。中盤はけっこうぐれてて(?)わいわい遊んでかなり楽しかった、酔っぱらったまま夜な夜なアトリエに現れ軽ーくちょぼちょぼ曲作り、その後田舎に引っ越して自然系の曲をいくつか、ばかばかしい語り多産。その後真面目に数曲。終盤は妊娠してるから急に幸せムードで不思議なホルモンに包まれて暮らしてました。すぐに寝たくなるのであまり曲は作らず。完成して子供も産まれてリリースされる今は家で作曲っていうより、珍しくコンサートするのが楽しみ。

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