ツジコノリコ、ジョージ・コヤマ「KURO」
THINGSText: Taketo Oguchi
パリ在住のシンガーソングライター、ツジコノリコと、ベルリンを拠点に活動する映像作家、ジョージ・コヤマの共同プロデュースで製作された映画「Kuro」が、今年1月末に開催されるスラムダンス映画祭でプレミア上映される。スラムダンス映画祭は、世界の自主映画をサポートして優れた才能の発掘を行っている映画祭として知られている。
© 2017 Kuro
あらすじは、パリ郊外に住む日本人ロミはカラオケバーで働きながら、家では麻痺状態に陥っている恋人ミルーの面倒を見て暮らしている。ロミがミルーに話を聞かせながら家での時間を過越していると、以前彼らが一緒に日本にいた頃の話題が発端となり、そこに登場する小野と呼ばれる男の謎が話を思わぬ方向に。自身の過去、伝説、奇談などを交えつつ、やがてロミのミルーへの一人語りは、恐ろしいような、不思議なような、ただならぬ様相を帯び始める…
© 2017 Kuro
パリと東京で撮影された退廃的で美しい映像と、フランス語と日本語で語られるダークでミステリアスなストーリーが観るものを映画の世界へ引き込む。本作でジョージ・コヤマと共同で監督も務めたツジコノリコは、2005年より映画制作を開始し、「砂、そしてミニハワイ」(2005年)、「SUN」(2006年)と短編映画を立て続けに発表。そして前作から10年の歳月を経て発表された初の長編映画となる本作では、サウンドトラックとロミ役も務めている。
© 2017 Kuro
『「Kuro」は、わたしたちが人生を受け入れていく上での物語の必要性についての映画です。物語は世界を理解する上での骨組みであると同時に、理解不能への恐怖から、わたしたちを守ってくれます。けれど、守ってくれるとは言っても、そのストーリーの構成、使い方、解釈は常に不確実で流動的。(中略)観客の方々が、ものごとの不明確さの中を篤と探検できるようなゆとり空間を作り出すために、わたしたちは物語りの仕組みを利用しては、時にそれを枠から外してゆさぶってみる、というような映画を作りたかったのです。』プレスリリースより
作品は、スラムダンス映画祭を皮切りに世界各国で開催される映画祭に出品される予定だ。現時点での日本での上映予定は未定だが、スケジュールは公式フェイスブックページでチェックしてほしい。
Kuro
監督:ツジコノリコ、ジョージ・コヤマ
制作年:2017年
国:ドイツ/イギリス/日本
字幕:英語
上映時間:84分
https://kuro.film
Text: Taketo Oguchi
Photos: © 2017 Kuro