シンガポール・ビエンナーレ 2006

HAPPENING


文化は、いつの日も都市の実体をはかる基準となってきた。人々はそのことを理解していて、自分たちの文化的偉業を最前線に据え、それを誇示する。1895年から開催されているベニス・ビエンナーレは、最古の歴史を持ち、いつも高い期待を寄せられている国際的なヴィジュアル・アートイベントである。それは今日でも、共有、公開、教育、そしてインスピレーションの場を提供する重要なプラットフォームとなっている。ベニス・ビエンナーレが開かれて以来、「ロンドン・ビエンナーレ」や「パリ・ビエンナーレ」などの文化都市もそれに続き、独自のプラットフォームを築き始めた。

長い間、“文化不毛の地”というレッテルを貼られていたシンガポールもついに文化的な道を歩み始めた。経済的な成功と共に文化的なランドスケープも生まれ、それが育まれてきた。演劇もドラマも、そして絵画や映画のこともすべてゼロから学んできた。そしてシンガポールは芸術の育成を追求するため、初めてのビエンナーレを開催する。

戦争、テロ、紛争に特徴づけられる近代において、シンガポールと呼ばれるこの多文化大都市の基本信念とは一体何なのか?「シンガポール・ビエンナーレ」はこのテーマを中心にして企画され、40カ国以上から、国際的にも、また地元でも活躍している95組のアーティストが参加する。美術館や、一見普通の公共住宅など、都市に分散する15の場所から発信されるこのシンガポール・ビエンナーレは私たちの興味をかき立てるイベントである。

ドイツ人アーティストのカーステン・ニコライは、彼の最新作であるメディアインスタレーションを通して、壮大なヴィジュアルと音楽を提供する。それは観客が横になれる場所がある幾何学的物体の中でエコーし、光のスペクトルを浴びせる。来場者は超現実的な空間を体験できるだろう。

日本人建築家の坂茂は彼独自の“紙”建築をシンガポールに持ち込んだ。災害被害者のために、効率的かつ迅速な住宅を建造する必要から生まれたその材質を建築に取り入れたのである。教会からパリのポンピドゥーセンターの最上階にあるオフィスにいたるまで幅広く使用されているこの”ペーパーチューブ”建築がシンガポールにもやってきたのだ。シンガポール・マネージメント・ユニバーシティの緑いっぱいの敷地に建てられるこの建造物は本当に興味深いものになるだろう。

絵画、インスタレーション、写真、そしてパーフォーマンスにいたるまで様々なものが植民地時代の歴史的建築や宗教的建造物内の空間に展示される。それは奇想天外な組み合わせであり、気まぐれな融合でもある。おそらくそれこそが現在のシンガポールを表しているのだろう。まだ不確定であり、多様な要素が少しずつ入り交じって構成されているこの国を。

Singapore Biennale 2006
会期:2006年9月4日〜11月12日
会場:シンガポール市内のギャラリーや美術館など
www.singaporebiennale.org

Text and photos: Fann ZJ from npsea Enterprise
Translation: Toyofumi Miura

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