セバスティアーノ・マウリ「わたしのラブソング」展

HAPPENINGText: Gisella Lifchitz

マウリは初めから人と関わる仕事をしてきた。最初、彼は風景、広いスペースとちっちゃな人間、そして強力な空にも興味があった。その後、彼の人生が変わり、作品も変化した。人をある観点から見るようになり、偏見を取り除いて、顔のしわに魂の跡を探した。

『僕が興味があるのは、社会的な固定観念を超えたところにある物なんだ。表面を削って、より純粋な目で人々を見たい。結局のところ、僕らは他人から出るエネルギーを嗅ぎ分ける動物に過ぎないからね。僕らは皆、同じ物を求めている。愛し、愛されること。弱々しく、脆く、感情を表している。』マウリは明かす。『これは、ただ僕がある観点から人を見ているということじゃなくて、僕自身が愛を探しているという事でもあるんだよ。僕は純粋で、愛情のある目で見られたいんだ。』

そこで彼は絵画、ビデオ、写真などできる限り多様な形式を採用した。映像制作の勉強から始めて絵画、そして今はまた映像に戻ってきた。物語を書いたりもする。しかし彼は自分を限定するような事はしたくない。彼は定義できない物を信じる。

彼の作品の主な目的は、私達が目にする人達の本質に心を開くこと。合理的な考えを捨てて、私達の心の奥底にある物に光を当てる事だ。『人の外見の向こう側に行きたい。人にラベルを貼るようなことはしたくないんだ。僕が探している物は僕らを繋ぐ紐、つまり慈愛だよ。』とマウリは教えてくれた。

『僕はビデオで皆のベストショットを撮りたかったんだ。ドラマチックな方法で彼らを見せたりしてね。たとえ個々の内容は違っていても、彼らは僕が示してあげられるのと同じぐらい素晴らしく見えるんだ。』

私達と彼ら。伝染性があって、魅力的なラブソングのリズム、ミュージック・パワーで私達は皆、再融合する。私達を見つめる目を見つめ返せば、彼らの感じる愛を、その感触まで想像することができる。さらに、私達はそこに居たいと思う。崇高で思慮深いカメラの目に写されて。

“The Song I love to” Sebastiano Mauri
会期:2006年6月27日〜7月29日
会場:Braga Menendez Gallery
住所:Humboldt 1574, Buenos Aires
https://www.sebastianomauri.com

Text: Gisella Lifchitz
Translation: Yuki Furusho
Photos: Courtesy of the artist, © Sebastiano Mauri

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