セバスティアーノ・マウリ展

HAPPENING


私達を見つめる人。私達が見つめる人。愛する人。音楽を聴く人。色んな出身地の人。いい人。醜い人。変わった人。素敵な人。気持ちが通じ合う人。私達みたいな人。

セバスティアーノ・マウリが私達に見せる物はそれだ。私達みたいで、私達が好きな人達の世界。私達の目と同時に心をつかむ物。
マウリは1年間あらゆる国を旅して、あらゆる年齢、人種、国籍の人を探し、「The song I love to」というビデオの制作に取り組んできた。つまり、彼のビデオは人間の他文化的ポートレートと言える。

『人が好きなんだ。』マウリははっきりと、そう言った。『通りを歩く時、僕は建物に目をやったりしない。人の顔を見るんだ。ビデオに登場した皆が自分のCDカバーを作れるように撮影した。異なる宗教、年齢、人種、文化の人を出来るだけ多く撮りたかった。運良く、探していた物をニューヨーク、ブエノスアイレス、ミラノ、エントレリオスで見つけることが出来たよ。ある人達には、より人間らしい物を感じたりした。僕は彼らがただそこに立ってカメラを見つめている姿を丸々1分間撮影して、それから彼らのお気に入りのラブソングは何か尋ねたんだ。それだけだよ。』

中毒性があって、強制的。見飽きるなんて事はない。見るたびに、何か新しい発見がある。だって私達は常に何か新しい物だから。

実は、このプロジェクトはマウリが好きな人のために作った物だった。彼は史上最高のラブソングを編集したミックスCDを作ることから始めて、この作品を見出した。だから本末転倒だったかもしれない。プロジェクトの方が彼を見つけたのだから。

マウリは初めから人と関わる仕事をしてきた。最初、彼は風景、広いスペースとちっちゃな人間、そして強力な空にも興味があった。その後、彼の人生が変わり、作品も変化した。人をある観点から見るようになり、偏見を取り除いて、顔のしわに魂の跡を探した。

『僕が興味があるのは、社会的な固定観念を超えたところにある物なんだ。表面を削って、より純粋な目で人々を見たい。結局のところ、僕らは他人から出るエネルギーを嗅ぎ分ける動物に過ぎないからね。僕らは皆、同じ物を求めている。愛し、愛されること。弱々しく、脆く、感情を表している。』マウリは明かす。『これは、ただ僕がある観点から人を見ているということじゃなくて、僕自身が愛を探しているという事でもあるんだよ。僕は純粋で、愛情のある目で見られたいんだ。』

そこで彼は絵画、ビデオ、写真などできる限り多様な形式を採用した。映像制作の勉強から始めて絵画、そして今はまた映像に戻ってきた。物語を書いたりもする。しかし彼は自分を限定するような事はしたくない。彼は定義できない物を信じる。

彼の作品の主な目的は、私達が目にする人達の本質に心を開くこと。合理的な考えを捨てて、私達の心の奥底にある物に光を当てる事だ。『人の外見の向こう側に行きたい。人にラベルを貼るようなことはしたくないんだ。僕が探している物は僕らを繋ぐ紐、つまり慈愛だよ。』とマウリは教えてくれた。

『僕はビデオで皆のベストショットを撮りたかったんだ。ドラマチックな方法で彼らを見せたりしてね。たとえ個々の内容は違っていても、彼らは僕が示してあげられるのと同じぐらい素晴らしく見えるんだ。』

私達と彼ら。伝染性があって、魅力的なラブソングのリズム、ミュージック・パワーで私達は皆、再融合する。私達を見つめる目を見つめ返せば、彼らの感じる愛を、その感触まで想像することが出来る。さらに、私達はそこに居たいと思う。崇高で思慮深いカメラの目に写されて。


“The Song I love to”, by Sebastiano Mauri

会期:2006年6月27日〜7月29日
会場:Braga Menendez Gallery
住所:Humboldt 1574, Buenos Aires
http://www.sebastianomauri.com

Text: Gisella Natalia Lifchitz
Translation: Yuki Furusho

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