アントニオーニ 写真展「ブロウアップ ’60年代のロンドン」

HAPPENINGText: Sayaka Hirakawa

「BLOW-UP」といえば、60年代のロンドンを舞台に、いわゆる “スウィンギング・ロンドン” をスタイリッシュに、奔放に描いたカルトムービーである。その生誕40周年を記念した写真展が、フォトグラファーズ・ギャラリーで開催されている。

イタリア人監督のアントニオーニによる同作品は、まさに写真が大きなテーマとなっている。新進気鋭といった風の、なんとも傲慢なファッションフォトグラファーが、ある朝公園で見かけた、若い女性とあきらかに年輩の男性の逢い引きシーンを、こっそり撮影したところ(このこっそり具合がとても気取っていて、コミカルで非常に愉快)、そこには重大な殺人事件の鍵が写り込んでいた。

実際はドン・マクーリンによって撮影された、12枚の公園のシーンが展覧会のハイライトである。スクリーンの中では、フォトグラファー自身の手によって現像、プリントをくり返すシーンが詳細に描かれている。広角の一枚から、じっくりと拡大鏡でのぞき、一部を拡大、さらに拡大プリントしてみると!という一連の写真がそこにある。拡大された部分の粒子の荒さまでまじかに見て取ることができる。

ギャラリーには2点の黄色を中心としたドローイングも展示されている。ストーリーにも登場するこの抽象画は、いくつもの色とりどりの点から構成されており、それが拡大された写真の質感とよく似ている、と登場人物からコメントされている。

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