ヘンリック・ヴィブスコブ
PEOPLEText: Peta Jenkin
春・夏メンズウェアコレクションは、遊び心満載の幾何学模様とキュートな仕立ての、新しいレーベルのストリートウェア。まるで、ドクターの薬箱から出てきた水銀がしみ込み、彼の長い灰色のあごひげをハイテクで中世的な胸部に変形させたかのよう。
Henrik Vibskov ‘Madsen’ collection, spring/summer 2006
秋・冬のコレクションは、サイケな色のプリントTシャツ、ジャケット、道化師スタイルのレギンス、チェリーレッドのスーツを覆う黒のケープなど、より一層ひねくれたおとぎ話を表現。ヴィブスコブはこれに、「見るもの」というより「実用的」でベーシックなストリートウェアアイテムのテイストを加えることで、このワンダーランドを抑制するのだ。
Henrik Vibskov Menswear Autumn/Winter 2006
ヴィブスコブの服は、道化師やファッショニスタ、闇に潜むミステリアスなパーティー好きの人に貸し切られるだけではない。
2006年のレディース・ウェア・コレクションは、このファンタジー世界への旅がもっとスタートレックな冒険に変わっている。フェミニンで未来的、より控えめな色使い。ヴィブスコブは世界の大都市にあるデザイナーデパート店の棚に並ぶため、既製服に切り替えることを決めたのだろうか?
Henrik Vibskov Women’s wear 2006
当分そんなことはなさそうだが、完全にその可能性が除外されるわけではない。アートとファッションプロジェクトのバランスをとる器用な才能は、センターから少し外れたファッション群を魅了し続けるだろう。パリのコレット、香港のピニール・アイ、ロンドンのNO-ONEが、現在彼のコレクションを置いている。
Henrik Vibskov modelling for Patrik Soderstam at London Fashion Week 2005
Photo: Shoji Fujii, courtesy of Diane Pernet
ユニコーンや道化師、キングにクイーンが登場する空想の世界は、グラフィックデザインやファッションの分野でそれに近いものが繰り広げられているが、ヴィブスコブが引き金になり、他が続くのだ。彼は、デザインやインスタレーションに遊び心と仕立て屋の腕を加えてファッション化する、クリエイティブな “ニセ医者” だ。彼はまたキャットウォーク・モデルでもある。そしてミュージシャン。ブレイクダンサー。そして…、まあこの写真で分かるだろう
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