トランスメディアーレ 2006
HAPPENINGText: Yoshito Maeoka
今回ノミネートされた作品に目を向けると、映像のみで完結された作品はほとんどなく、コンセプト、プレゼンテーション、作品そのもののあり方にまで包括的に作成された作品がノミネートされていた。
Markus Kison, Roermond-ecke-Schoenhauser
実際の街角を模型とプロジェクターで投射した映像に会わせて再構成。
Agnes Meyer-Brandis, SGM-Eisberg-Sonde
氷盤に穴をあけ、中深くカメラを下ろすとそこには… 未知の世界が!
真剣に、ユーモラスなことをプレゼンテーションする姿勢。
Andres Ramirez Gaviria, .-/
カンディンスキーの著書、「点と線」をモールス信号に直し、映像化した作品。
Ubermorgen.com feat. Alessandro Lidovico vs. Paolo Cirio, GWEI – Google Will Eat Itself
隠されたウィンドウに Google Addwords を含むページを表示させ、自動的にグーグルから広告費を巻き上げる、というプロジェクト。(実際のページやスクリプトは公開されていない)
Platoniq, Burn Station – Mobile Free copy Station
著作権フリーの素材をコピーするために著作権フリーのシステムで構成されたCDコピー端末。
アートフェスティバルやアートスペースでの展示。
Yuko Mohri and Soichiro Mihara, Vexation
エリック・サティの習作「ヴェクサシオン」をコンピュータで自動的に演奏させ指向性の高いスピーカーから流し、マイクで音を拾い、コンピュータで音波を解析しMIDIデータに起こし直す。これを再びピアノの音で再生する事により、実際の音に加えて拾い上げたノイズをもピアノの音として、あたかもテーマのバリエーションとして再生される。元の楽曲の構成上、これを連続して840回繰り返す。
個人的にひと際目を引いたのは、「バーン・ステーション」、「GWEI」といったアディクト系の作品だった。こういった活動をアートの領域として評価する姿勢は今回のテーマにも通じる。
大賞は、コンセプト、プレゼンテーション、ユーモアのバランスが良いアグネス・マイヤー=ブランディスの「SGM-EISBERG-SONDE」が受賞した。それに続き、毛利悠子と三原聡一郎の「ヴェクサシオン」、アンドレス・ラミレス・ガビラの「.-/」、プラトニックの「バーン・ステーション」の3組がセカンドプライズを受賞した。
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